鹿実・谷村 聖地でも見せたサブマリン
「選抜高校野球・2回戦、智弁学園4-1鹿児島実」(25日・甲子園球場)
敗れた鹿児島実だが、先発した背番号10のサブマリン右腕、谷村拓哉投手(3年)の力投が光った。
球速110キロ台ながらキレのある直球に、スライダーでさらに緩急をつけ、六回までは無失点。「疲れがあった。ボールが浮いてしまった」という七回に味方の失策や2ランで4失点したものの、5安打しか許さず、最後まで投げ抜いた。
中学時代はオーバースローの投手。高校入学後は内野手だったが、1年秋の守備練習中に下手投げからの送球のうまさに目を付けた宮下監督やコーチから、アンダースロー転向を勧められた。
「最初は何でだろうと思ったけど、チャンスを生かそうと思った」。最初は西武・牧田を参考に、その後は多い日で1日200球もの投げ込みを行い、リリースポイントの感覚を身に付けた。
アンダースローは、体への負担が大きい。左太もも裏など、下半身への張りを感じることが多いというが「打たれない日は全然打たれなくて楽しい。打たれる時はとことん打たれる。そこでまた研究するのは楽しい」と、魅力を語る。
思い切った決断、そして努力を重ね、たどり着いた甲子園のマウンド。「転向してよかった。自分も成功したし、チームにもプラスになった」と谷村。終盤でも切れないスタミナを身に付け、夏にまた帰って来る。