イチロー今季初三塁打 激走で判定覆る
マーリンズのイチロー外野手(41)は16日(日本時間17日)、メッツ戦で七回に代打で途中出場し、今季初の長打となる右中間三塁打を放った。
背中の張りで2試合を欠場していた正左翼手のイエリチが先発復帰し、3試合ぶりに控えに回ったイチロー。この日の出番は1点を追う七回1死走者なしの場面だった。中継ぎ右腕のモンテロに対し、フルカウントからの9球目、低めの134キロチェンジアップを右中間最深部に弾き返し、三塁を陥れた。
敵軍内野陣が前進守備を敷く中、続くゴードンの二塁手正面のゴロで本塁突入。間に合わないと予想し、一旦はブレーキをかけたが、送球が一塁側に逸れるのを見て急発進。捕手のタッチをかいくぐりながら頭からホームに飛び込み、ヘルメットを飛ばして懸命に左手を伸ばす。球審の「アウト」のコールに猛抗議した後、マーリンズのレドモンド監督がビデオ判定を要求。通常の2倍近い、5分44秒の審査の結果、「セーフ」に判定が覆った。
イチローが魅せた魂の同点ホームイン。判定が変更された瞬間、マーリンズのダグアウトは歓声を上げ、ベンチに座って待機していたイチローも笑顔を見せた。
試合は、マーリンズが同点の七回に勝ち越しを許して5-7で敗戦。3連勝はならなかった。
試合後のイチローは開口一番、「参りました」と大きく息を吐いた。本塁手前で急ブレーキをかけて打者走者を二塁に進める選択肢もあったことを明かしながら、判断の難しさ、そして、再加速する際の肉体にかかる負担の大きさを説明。同じように本塁手前で急停止した後、再発進して生還した、ヤンキース時代の12年10月8日のオリオールズとのプレーオフ地区シリーズ第2戦を引き合いに出し「(再加速するために)どんだけエネルギーがいるか」と話した。
ヘルメットを飛ばし、懸命に手を伸ばした、見る者の心を揺さぶったプレー。イチローは「諦めたら絶対にうまくいかない。そう考えたら、気持ちが切れたら終わりだよね」と振り返った。