青木 マリナーズ入団会見で熱弁
ジャイアンツからフリーエージェント(FA)になっていた青木宣親外野手(33)が3日(日本時間4日)、マリナーズと正式に契約を結び、シアトルのセーフコ・フィールドで入団会見に臨んだ。
存分に“らしさ”を発揮した。会見の冒頭、マイクを向けられた青木は英語であいさつ。シアトルに人気コーヒー・チェーン店「スターバックス」の本社があることを踏まえて「僕はコーヒーを飲むためにシアトルに来ました」と言って笑いを取ると、すかさず「それとワールドシリーズで勝つためです」と、マリナーズが77年の創設以来、一度も成し遂げていないワールド・チャンピオンへの意気込みを見せた。
マリナーズはイチローが01年から12年途中までプレーしたチーム。会見では日米メディアから何度もイチローに関連する質問が飛んだ。
「日本では本当に馴染みのあるチーム。実際に自分も学生の頃からこのセーフコ・フィールドでの試合を観てたし、憧れの球団であることは間違いない。いつもイチローさんを尊敬の目で見ているし、本当に偉大な選手だと思っています」。
お披露目されたユニホームの背番号は「8」。「娘が『8番がいい』って。奥さんもそう言ったので新しい気持ちでやろうと思って」と異国の地で自分をサポートしてくれている家族の気持ちを尊重したことを明かしながら、イチローの代名詞でもある「51」には「つけられるような番号じゃないと思っています。さすがに無理でしょ。殿堂入りするような選手ですよ」と大恐縮。その一方で、地元ファンからイチローと比較される重圧には「比べられたらむしろうれしい。それもやりがいにしたい」と強い気持ちをのぞかせた。
メジャー5年目で4球団目。人柄のよさを垣間見せたのは、環境が変わっても安定した成績を残し続けている“秘密”を問われた時だ。「『自分』をどんどん出していくと同時にチームメートへの気遣いだとか、『チームとして』というところをいつも意識しています。打てなかった選手に(ベンチ)裏で声を掛けたり、ミスしてしまった選手をみんなで励ましたりすることはすごく大切なことだと思います」と『フォア・ザ・チーム』を力説した。
現在、マリナーズは自軍からFAになった岩隈久志投手(34)との再契約を目指している。青木は岩隈との関係を「対戦した時はいつも食事をしていた。本当にいい友達です」と説明。交渉が長期化の様相を呈しているからだろうか、「自分の契約の中に『岩隈が(マリナーズと)契約する』という条項が入っている。そうなって初めて自分の契約が完了だと思っています」と言って爆笑を誘い、隣に座るディポトGMをたじたじにさせた。
ジョークあり、家族愛あり、熱弁あり、…。青木の魅力が詰まった約1時間の入団会見。野球選手としての能力の高さを絶賛したディポトGMは会見が終わると青木の耳元でこうささやいた。
「あなたはすばらしいコメディアンでもありますね」