イチロー、代打で鮮やか中前打
「マーリンズ春季キャンプ」(27日・ジュピター)
マーリンズのイチロー外野手(42)はカージナルスとのオープン戦で八回に代打で途中出場して中前打。1打数1安打で守備には就かなった。
4番手でマウンドに上がったカージナルスの守護神ローゼンタールと、代打で打席に入ったイチロー。2人の登場を告げる場内アナウンスにスタンドが大きく沸いた。
相手の出鼻をくじいたのはイチローだ。初球、外寄りの150キロ速球にバット一閃。ややバットの先で捉えた打球は鮮やかなラインドライブで投手の左を抜け、センターに達した。
「俺が言ってるのはそれなんだ!」。
試合前の全体練習。室内ケージで打撃練習をするイチローに向かって叫んだのは、三塁ベースコーチのハリスだ。現役時代は内外野をこなすユーティリティ選手として18シーズン、40歳までプレーした。代打通算212安打はメジャー記録をもつ“代打の神さま”が発した言葉の意味を説明する。
「イチの一番の特長はバランスの良さだ。しっかりグリップを後ろに残し、一気に振り抜く。最近、それができていないことが気になっていて、調整の邪魔をしたくはなかったが、練習中に本人に話したんだ。きょうの練習ではいいスイングがたくさんあった。試合でもいいバランスを保って初球をパーンと振り抜いていた。いい時のイチローのスイングだったね」
よほど心配していたのか、その表情は喜びに満ちあふれていた。
オープン戦に出場予定のなかった2日前は室内でバットを振り込み、前日は変則ルールでマイナー2試合に同時出場して10打席に立ったイチロー。この日は代打で1打席のみだったが、手応えを感じる1本になったことは間違いない。
2月23日のキャンプイン以来、毎日異なるデザインのTシャツで球場入りしている。33枚目となるこの日の“作品”は、前日に続いて白地に視力検査表のデザイン。中央の列には「ソンナオマエガイイ」と意味深長な言葉が記されていた。
あす28日はナショナルズのキャンプ地で行われるオープン戦には出場せず、再び、打席重視の変則ルールでマイナーの試合に出場する予定。9日後の開幕に向けてじっくり調整していく。