公立理系大ボクサー坂本がデビュー白星

 「デイリー後援・ボクシング4回戦」(28日、住吉区民センター)

 現役公立大理系ボクサー・大阪市立大工学部機械工学科4年の坂本真宏(23)がデビュー戦を白星で飾った。

 51・5キロ契約の4回戦で平沼裕介(フュチュール)に判定3-0。学友ら60人が応援に駆け付け、「緊張しまくって硬くなりまくった」とガチガチになりながらも手数、スピードで相手をしのいだ。

 大学入学後、競技を始めアマ戦績はフライ級で24勝6敗。全日本選手権大阪代表にも選ばれたホープ。1回から素早いジャブでペースを握り、右フックを何度もヒットさせた。最終4回にはラッシュを見せたがKOはならなかった。

 リング上で「倒しに行って大振りになった。申し訳ない。プロのリングは独特の緊張感。いい経験になった」と声援に応えた。

 研究とプロボクサーの二足のわらじを履き、デビュー戦を迎えた。現在、卒論の真っ最中でテーマは「チタニアナノチューブの形成メカニズムの解明」。実用化されれば建築資材などの洗浄に効果がある、という。

 試合後は「年内に卒論の緒言と実験方法をまとめて提出しないと。教授からも催促されているので…」とインテリ学生の素顔。喜びに浸る間もなく正月返上で執筆活動に入る。

 大学院への進学は今年、不合格となったが来年、大学院試験の勉強をしながら競技と両立する。「物理学の理屈は競技に生きる」と言う偏差値60超の秀才は「来年は新人王獲得に向けてもっと練習する」と意気込んだ。

 横浜国大卒の新田渉世が96年東洋太平洋バンタム級で国公立大卒初の王者。現役では東大卒で現役公認会計士の柏野晃平らがいる。「頭では負けますけどボクシングでは負けない」とライバル心。国公立大出身初の世界王者へ向け、“チタニアナノチューブ坂本”が一歩を踏み出した。

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