名門復活なるか、協栄ジムの大きな決断

 ボクシングの名門・協栄ジムが、復活を賭けた大きな決断をした。1959年の創設以来続いてきた金平家がジム運営から一歩退き、OBの元WBA世界フライ級王者で、稲城市市議会議員の坂田健史氏(35)を代表として委任すると発表したのだ。

 創設者の金平正紀氏が海老原博幸、具志堅用高、鬼塚勝也ら日本最多12人の世界チャンピオンを輩出した名門ジムだが、佐藤洋太が王座から陥落した13年以降、日本王者も出せないほどの低迷を続けている。

 その理由は一つや二つではないのだろうが、金平桂一郎会長は「自分には実際にリングに立った経験がない。それが陣頭指揮に迫力を欠いていたのではないか」と分析する。選手育成に必要な説得力を、OBの坂田氏に求めたのだ。

 坂田氏は「引退するときにもお話を一度いただいたが、諸事情で決断できなかった」と言う。今回は師匠の大竹重幸元協栄トレーナーにも相談し「協栄再建」を決断した。当初の肩書は「会長」ではなく「代表」。オーナーライセンス取得に最短でも3年かかることから、当面は金平氏が会長職にとどまり、プロモートに専念する。

 坂田代表として最初の仕事は、協栄ジムがプロモートした10日の興行(後楽園ホール)だった。メーンが和気慎吾(古口)、セミも天笠尚(山上)の世界前哨戦と他ジムの選手だった。協栄ジムではセミの前に高野人母美が登場し、女子東洋太平洋スーパーバンタム級王座決定戦に判定勝ちした。これは新生ジム最初の朗報だ。

 当面は和気や天笠など、提携ジムのプロモートを続けていくことになるが、最大の目標は子飼いの日本王者、東洋太平洋王者、そして世界王者を再び出すこと。協栄ジムではホームページも一新。新たなスタートを全面的にアピールしている。名門復活が心から待たれる。(デイリースポーツ・津舟哲也)

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