王者・細野悟が判定で6度目の防衛
「ボクシング・日本フェザー級タイトルマッチ10回戦」(28日、後楽園ホール)
王者・細野悟(大橋)が3-0の判定(ジャッジ3者とも97-91)で同級1位の福原力也(ワタナベ)を下し、6度目の防衛に成功した。細野は31勝(20KO)2敗1分、福原は31勝(23KO)9敗1分。
1回からプレッシャーをかける細野だが、福原の巧みなフットワークから右カウンター、アッパーをもらうなど一進一退。5回終了時の公開採点ではジャッジ3者とも48-47で福原を支持した。
しかし、6回からようやくエンジンがかかった。接近戦に持ち込むとショートフックと左右のアッパーでダメージを与える。8回にはロープ際に詰めると強烈な左ボディーで最初のダウンを奪った。9回にも突き上げるような左ボディーで倒し、グロッギーに追い込んだ。だが、仕留めきれず、10回終了のゴングを聞いた。
「結果はうれしいけど、倒したかった。それだけです。もっと前半から行こうと思っていたけど、うまくポイントを取られてしまった」と振り返った。
対福原は12年10月(7回TKO)、15年3月(判定)に次ぐ3度目で3連勝となった。しかし、昨年のリプレーのような内容に、大橋秀行会長は厳しい顔だった。
「効いたパンチはなかった」と言う細野に対し、「そうは見えなかった。やけくそのフルスイングをもらっちゃうから福原が生き返っちゃう。理詰めで行かなきゃいけないのに、同じように打ち合っている」と酷評。
さらに「今日の展開でKOできないと、世界戦なんかかからない。日本タイトル戦としては面白かったかもしれないけど、これから上に行く人の試合じゃなかった」とピシャリ。WBA世界フェザー級2位め、主要4団体で世界ランク入りする細野だが、4度目の世界挑戦はまだ先になりそうだ。
一方、細野に3連敗した福原は腫れ上がった顔を氷のうで冷やしながら「体調はよかった。(細野は)前半から来ると思っていた。プレスが強くなったとき、惑わされない練習をしていたけど、力が入って思うツボになった。調子がよかっただけに力を抜けばよかった」と振り返った。
06年の日本スーパーバンタム級王者で、10年ぶりの2階級制覇の夢がついえた。今後について「悔いはありません。世界2位の選手と闘えて光栄でした」と、37歳のベテランは引退を示唆した。