近大前主将の城後3回TKOで初戦突破
「ボクシング・西日本新人王予選」(10日、エルシアター)
名門近大ボクシング部の前主将で昨年プロ転向した城後響(22)=井岡=が3回2分39秒TKO勝利で入口裕貴(18)=エスペランサ=を下し、西日本新人王戦の初戦を突破した。9月11日に行われる同戦の決勝に進んだ。
4戦4勝(3KO)を誇るV候補をねじ伏せた。1回、ジャブの差し合いで互いに様子を見るなど五分。2回は城後が右カウンターから左をヒットさせるなど、徐々にペースを握った。
3回、打ち合いの中で会心の右が顔面に入ると、相手の腰が落ちた。チャンスを逃さず一気にロープに詰め、猛ラッシュをかけると、レフェリーが試合を止めた。
「勝ちに行くのが大前提だったけど、仕留められたのは良かった。プロではKOをもらうリスクもあり、緊張感が違う」と安どし、振り返った。
学生王座に10度輝いた近大ボクシング部は09年、部員の不祥事により、休部に追い込まれた。12年に活動を再開し、城後はその1期生だった。キックボクシングの経験はあったがボクシングは素人。一からの再建を同大OBの赤井英和総監督(現名誉監督)らと歩み、昨年は主将としてチームを引っ張った。昨春1・2部入れ替え戦に勝利し、今春から7年ぶりの1部リーグ復帰を決めた。
学生時代に大仕事を果たしたが、ボクシングへの情熱は冷めず、井岡ジムに入門。昨年12月にデビューし、1回KO勝利を飾った。
主将時代とは違う。世界3階級制覇王者の井岡一翔、東洋太平洋ライト級王者・中谷正義、同バンタム級王者・山本隆寛、日本スーパーフライ級王者・石田匠らがズラリとそろう同ジムでは、立場がガラリと変わった。
「早くそういう人らに追い付きたい。負けてられへん。厳しい環境でやっているので、やればやるほど強くなる」と、新人王戦でつまずいてなどいられなかった。
井岡一翔からは「いかに自分のやってることをリングで出せるか。練習でやったことしか出せない」と助言をもらった。焦らず、冷静に「練習通り」を自らに言い聞かせ勝利をつかんだ。
井岡一法会長は「井岡イズムを教えているから。真面目やし、強くなる」と、成長に目を細めた。近大時代に指導を受けた元WBA世界スーパーフライ級王者・名城信男ヘッドコーチは応援に駆け付け「城後、ほんま強なったわー」と感嘆した。