社員選手ばかりのソニー仙台が鹿島撃破

 「サッカー天皇杯2回戦 ソニー仙台(JFL・宮城県代表)2‐2(PK戦2‐1)鹿島(J1)」(12日、等々力ほか)

 カテゴリーにして3段階下の実業団クラブ・ソニー仙台が天皇杯優勝4回の名門・鹿島を相手に大番狂わせを演じた。

 前半23分にMF細見が直接FKをたたき込むと、同28分にはFW田中が抜け出して左足で追加点を奪った。前半のうちに同点とされてしまい、後半は守勢に回ったものの、集中力を途切れさせずに延長戦を含めた120分間で鹿島に勝ち越しを許さなかった。

 PK戦突入を告げるホイッスルの直後には、大半の選手がピッチ上に倒れ込む消耗ぶり。後攻で2人目までが失敗する苦しい展開だったが、GK金子が鹿島の2人目・野沢を止めると、鹿島も連鎖反応的に柴崎、中村、山本が外す。ソニー仙台は3人目・中村と4人目・澤口が決めて、PK戦1‐2で激闘を制した。

 ソニー仙台は2人のプロ契約選手以外は社員として普段は働いており、午前8時半から午後2時までの通常業務を終えた後に、午後3時から約2時間の練習を行っている。PK戦で活躍したGK金子も工場勤務の社員選手。「企業スポーツが何を求められているかを考えています。社員としては会社を盛り上げたい。力を与えられるのではないかと考えています」と語る。

 地域貢献にも力を入れており、仙台市内の幼稚園にサッカーコーチを派遣している。プロを目指す選手、社員として活動を志向する選手と、いろんな立場の選手がいるが、この日は気持ちを一つにしてジャイアント・キリングを達成した。

 金子は「鹿島の選手もふがいない、という顔をされていた。(今後)変な試合はできないと思いました。気を引き締めていかないと鹿島に申し訳ない」と決意を新たにした。同じ仙台をホームにするJ1仙台は関西リーグ1部の奈良クラブに敗れた。一発勝負の天皇杯ならではの対照的な結果となった。

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