アギーレ監督要求実った「内田は必要」
サッカー日本代表のハビエル・アギーレ監督が5日の日本代表発表会見で、右サイドバックの内田篤人(シャルケ)に大きな期待を寄せた。
MF遠藤保仁、MF今野泰幸(ともにG大阪)と同じくW杯ブラジル大会以来の代表で、アギーレ体制では初招集となるが、2人とは事情がやや異なる。内田はW杯敗退直後に日本代表からの引退を示唆。その後、ややトーンダウンしたとはいえ、代表復帰には慎重な姿勢を見せていた。
アギーレ監督は「内田に期待することはシャルケでやっていること。日本代表でやってきたことです」と熱く語った。監督就任後、内田抜きで4試合を戦い、右サイドバックの先発は1試合が酒井宏樹(ハノーバー)、3試合が酒井高徳(シュツットガルト)だった。監督の初陣となった9月5日のウルグアイ戦は酒井宏が先発したが、失点に直結するミスをしたことが影響したのか、その後は酒井高がポジションを守っている。
しかし、監督は強化責任者である霜田技術委員長を通じ「内田の力が必要だ」とラブコールを送った。来年1月のアジア杯に挑むチームづくりに不可欠な存在だった。
霜田氏は内田と直接会話をし、意思確認をした末に、このタイミングでの招集が実現した。霜田技術委員長は「篤人がW杯の後にどういう思いでいたか、あるいは新しい代表にどういう思いを持っているかは、内田本人の口から聞いてもらえばいいなと思う」と内田との会話については明かさなかった。ただ、「コンディションも確認して招集する運びになりました」としており、W杯前に痛めた右膝裏などの状態については慎重に確認したことがうかがえる。
13年2月のラトビア戦(神戸)では内田が右足を負傷し、遠征が理由としてシャルケ側が日本協会に不満を示したこともある。長距離移動にはリスクがつきもの。それでも、アギーレ監督は会見で「安定した選手でフィジカル的にも強い選手です。戦えますし、テクニックの質が高い選手です」と招集の必要性を訴えた。
今回の代表メンバーで、右サイドバックでの起用が見込まれるのは、「右も左もできる」と評価されている酒井高と、まだ試合出場がない松原健(新潟)。塩谷司(広島)も起用される可能性はあるかもしれないが、実績、経験を考えれば代表71試合出場の内田にかかる期待は大きい。
監督は「松原のような代表に出場していない選手もいるので、彼らからすればいいアドバイスをもらえる存在になるのでは」とコーチ役まで要望した。過去4試合で1勝1分け2敗。内容も決定力不足で失点はミスがらみ。内田は煮え切らない試合が続くアギーレ・ジャパンの救世主となるか。