川淵氏 クラマー氏は「人生の恩師」
「日本サッカー界の父」と呼ばれたドイツ人指導者のデットマール・クラマー氏が17日に90歳で亡くなったことを受け、日本サッカー協会の最高顧問で、東京五輪でクラマー氏の教えを受けた川淵三郎氏(78)が故人をしのんだ。
コーチとしてクラマー氏が来日したのが1960年で、「初めてお会いしてから55年。サッカーだけでなく、人生そのものを教えてくださった恩師で、今の僕があるのもクラマーさんがいてくれたからこそです」とあらためて感謝した。
Jリーグ初代チェアマン、日本協会の会長(キャプテン)として日本サッカー界をリードする立場にあった川淵氏だが、「これまでも何か気づくと、必ずアドバイスの電話をくださり、その度に勇気付けられました」と折りに触れてクラマー氏からの助言を得ていた。最後に会話をしたのは昨年で、クラマー氏の口から「寂しいね」という弱音を初めて聞いたという。
クラマー氏はW杯出場はおろか、サッカー界の社会的地位も低かった60年代に、日本代表を情熱的に指導した。「選手を一人前の真摯として扱ってくれた数少ない指導者で、あれほど真摯にすべてをかけてサッカーと人生哲学を伝えようとした指導者を僕はクラマーさん以外に知りません」と振り返った。