八木かなえ、五輪デビューでほほ笑み
「ロンドン五輪・重量挙げ女子53キロ級」(29日、エクセル)
初出場の20歳・八木かなえ(金沢学院大)はスナッチ82キロ、ジャーク109キロのトータル191キロで12位だった。
八木が全世界に向けて笑った。6度目の試技となる最後のジャーク。109キロをほほ笑みながらクリアすると、国境を越えた大歓声と拍手が起こった。八木は両手を大きく広げて「ありがとうございます」と笑顔で応えた。
トータル191キロ。ぎっくり腰に苦しんだこともあり、自己ベスト更新と目標の「200キロ近く」に及ばなかった。「記録というより、五輪の舞台に立てたことが宝物です」とニッコリ。「腰の痛みは緊張して忘れていた。もう終わり?という感じ。ほっとした半面、もう少しやりたかったかな。でも自信になった。選手紹介の時に母と目が合ってうれしかった」と振り返った。
観客席では、神戸から駆けつけた父・鳴彦さんと母・芳美さんが娘の晴れ姿を見守った。今年元日、地元の須磨・多井畑(たいのはた)厄神に両親、恩師・横山信仁監督らと初詣。この時点で目標は16年リオデジャネイロ五輪だったが、その半年後、4年も早い大願成就。鳴彦さんは「無事に挙げてもらえた。それでいい」とねぎらった。
尊敬する女子の第1人者、48キロ級の三宅宏実が銀メダルを獲得。「本当に感動した。メダルのパワーはすごいんだなって。4年後、自分も感動を与えられる選手になりたい」。“微笑みのリフター”はさわやかな笑顔でロンドンっ子を魅了し、課題を胸にリオへの道を見据えた。