理恵「くっそ」団体で決勝進出も尻もち
「ロンドン五輪・体操女子団体・予選」(29日、ノースグリニッジアリーナ)
最終5班に登場した日本は団体総合で合計170・196点の6位となり、2大会連続の決勝進出を果たした。エース田中理恵(25)=日体大研究員=は納得の演技ができなかったが、精神的な柱としてチームをけん引。16歳の寺本明日香(レジックスポーツ)が4種目すべて14点台と安定した演技を披露した。個人総合は寺本が8位と健闘し、田中理恵は27位となり、各国・地域最大2人までの上位24人による決勝に進出した。
祈るような視線の先に、「6・JAPAN」の文字を見つけると、ようやく理恵に安堵(あんど)の笑みが浮かんだ。体操人生の集大成の舞台で、最大の目標としていた団体決勝進出を決めた。ただ、自分本来の演技ができなかった悔しさが、理恵の心中を支配していた。
「本当に今日は、チームのみんなに助けられました」
1種目目の段違い平行棒でピタリと止めた着地まで完ぺきな演技を見せた。しかし、「どこか気持ちが焦っていて、動きが速かった」。その予感どおり、その後の平均台、床では小さなミスが続き、得点が伸び悩んだ。最終種目での跳馬では、着地に失敗し、尻もち。トレードマークの笑顔を見せてはいたが「自分らしさがなくなってた。無理やり笑ってましたね。あ~、もう、くっそ!」と、理想とする演技には程遠かった。
前日は兄和仁、弟佑典が出場した男子の予選を見た。金メダル候補の男子がまさかの5位通過。「五輪って何が起こるか分からないなと思った。だから、思い切ってやろうと思ったんですけど…」。改めて夢舞台に潜む“怖さ”を実感した。
ただ、リベンジのチャンスは、あと2回残されている。全4種目をこなした選手の上位24人(各国2人まで)が進む個人総合決勝も、23番目で進出が決まった。初めて足を踏み入れた五輪の雰囲気に「やっぱりキラキラした世界だなと思った。もっと楽しみたい」。最初で最後の五輪。最高の笑顔で、完全燃焼する。