北島、個人無冠…「すべての人に感謝」
「ロンドン五輪・男子200M平泳ぎ・決勝」(8月1日、水泳センター)
1日、男子200メートル平泳ぎ決勝で、3連覇を狙った北島康介(29)=日本コカ・コーラ=は2分8秒35で4位に終わり、5位だった100メートルとともに個人種目は無冠に終わった。立石諒(23)=NECグリーン=がタッチの差で北島を大逆転。2分8秒29で銅メダルを獲得した。ダニエル・ジュルタ(ハンガリー)が2分7秒28の世界新記録で優勝した。
北島時代が終わった。五輪3大会連続2冠どころか、表彰台にも上がれなかった。隣のコースの立石に差し切られ、手中にしかけた銅メダルまで奪われた。その相手が弟のようにかわいがってきた後輩だからこそ報われた。北島はサバサバした表情で立石の背中に手をかけ、耳元で「おめでとう」とささやいた。
北島はスタートから世界新ペースでレースを引っ張った。偉大な足跡を残してきたキング最後の意地だ。年齢的にも最後の五輪個人種目となる可能性が高い。最後の最後に全身全霊、競泳人生の集大成として、己のすべてを水中で爆発させた。
だが、140メートル付近でジュルタに抜かれた。昨年の世界選手権で北島が敗れた宿敵だ。最後の50メートルはジュルタとジェーミソン(英国)の2強に絞られ、北島は立石と3位争い。残り5メートル、タッチの差で立石が3位に入った。
北島は「悔しいけど、諒がメダルを取ってくれたので悔いはない」と潔く敗戦の弁。「前半から飛ばしたのは、今の自分にできる精一杯の泳ぎ。3連覇というより、この4年間は自分への挑戦だった。ここまでサポートしてくれたすべての人に感謝したい」。まだ『引退』の2文字を口にできるタイミングではないが、時代の節目を肌で感じたレース。北島は万感の思いで目を赤くした。
二人三脚で歩んだ平井伯昌ヘッドコーチは「康介に力が足りなかった。高速水着の世界記録を破ったジュルタのように、世界新を出さなければ、もう金は取れない」と、全世界的なスピードアップ時代に北島がついていけない現状を認めた。
残るは4日決勝の男子400メートルメドレーリレー。北島は「最後までチームに貢献して、メダルがとれるように精一杯自分の力を出したい」と誓った。