【五輪おじさん】どうしたの、ニッポン柔道
大英博物館でニッポン柔道を考えた。なんで博物館にいるかって?柔道男子100キロ級の穴井隆将選手の応援に駆けつけたら、午前中の2回戦で負けてしまったからですよ!それで時間が空いて訪れたというわけ。五輪は競技だけでなく、その土地の文化に触れる機会でもあるんですよ。
古代エジプト・コーナーを見学しながらも、やっぱり私は柔道の低迷が気になるから、ロゼッタストーンの前で考えてしまいましたよ。どうしたの、ニッポン柔道!?
思い出すのが84年ロサンゼルス五輪の山下泰裕さん。負傷しながら、決勝戦で私の声を聞いて金メダルを手にした。山下さんにあって、今の選手にないもの。それは周囲に対する「心の持ちよう」です。デリケートで、ほんのちょっとしたことだけど、それが一番大事。その心が欠けていると、いくら強くても勝利の女神は味方しない。
先日、山下さんとロンドンでお会いした。「団長!元気だね。若いね。ひとつも変わらないね」。うれしかったね。握手したよ。山下さんの恩師・佐藤宣践さんも一緒で「ロスの時はアレでしたね」と旧交を温めた。
大英博物館から会場に引き返して表彰式は見た。日本が絡んでなくてもそこは大事。ロシア選手が金メダルでプーチン大統領が祝福してました。自身も柔道をやってるから、国ぐるみで盛んなんでしょう。日本も差をつけられちゃう。一夜明けて、最後のとりで、上川大樹選手を応援したけど、金メダルなしに終わった。もう一度、山下さんの時代に戻り、日本人の心の持ち方を学ぶ必要があるんじゃないかな。(山田直稔氏)