入江、ロクテ下し喜びも「悔いはある」

 「ロンドン五輪・競泳男子200M背泳ぎ・決勝」(2日、水泳センター)

 男子200メートル背泳ぎの入江陵介(22)=イトマン東進=も銀メダルを獲得し、日本競泳陣のメダルは銀2、銅7の計9個でアテネ五輪の8個を抜いて戦後最多となった。

 男子200メートル背泳ぎで入江陵介(22)=イトマン東進=が1分53秒78で2位に入り、今大会二つ目のメダルをつかんだ。入江は、2連覇を狙った昨年の世界選手権5冠で同種目の世界記録保持者、ライアン・ロクテ(米国)を下したものの、タイラー・クレアリー(米国)に敗れた。

 雌伏4年で宿敵ロクテに勝った。だが、タッチの差で金メダルを逃した。喜びと悔しさ。その2つがコインの裏表のように、入江の胸中でぐるぐると回っていた。

 前半トップで泳ぐロクテを隣のレーンで猛追。100メートルは2位で折り返した。もう1人のクレアリーも急浮上し、ラスト30メートルでは横一線のV争い。入江は「無我夢中で」スパートしたが、最初に手をついたのはクレアリー。金メダルにわずか0秒37、届かなかった。それでも、ロクテには勝った。女子200メートル平泳ぎの鈴木聡美に続く銀色のメダルだった。

 「ロクテ選手と競って本当にいい感じでいけたので、『1(位)』という文字が見たかった。金メダルを夢見てやってきた。悔いはある」と笑顔はない。それでも「いろんな人に支えられた。今できる100%の力を出し切った。最高に幸せです」と涙を流した。

 ぜんそくの症状が出て北京五輪の同種目では1分55秒72の5位。ロクテが金メダルだった。昨年7月の世界選手権では体調を崩し、1分54秒11で銀メダルを獲得したものの、ロクテに1秒以上も離された。その反省から、日本の合宿でさえ、喉を痛めないように部屋の掃除を何度も依頼するなど、細心の注意を払ってきた。

 「五輪の借りは五輪で返す」‐。そして有言実行。北島康介やフェルプスの苦戦を「世代交代」という言葉で指摘。「日本のエースになる。(競泳界を引っ張る気持ちは)本当にある。いつまでも甘えてはいけない。萩野公介ら若手も出てきている。僕は、彼らを引っ張っていける選手になりたい」。大舞台になると力を発揮できなかった男が大きく殻を破り、4年後をしっかりと見据えた。

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