太田「1人では限界」仲間と果たせた
「ロンドン五輪・フェンシング男子フルーレ団体・決勝、日本39-45イタリア」(5日、エクセル)
日本のフェンシング界をけん引してきた太田雄貴が、今度は夢を追う仲間と支え合いながら、表彰台に上った。「僕は人生でメダルを取ったことがある。他の3人は取ったことがなかったので、何とかプレゼントしたかった。それが果たせて良かった」。光る汗に達成感がにじんだ。
選手3人と補欠1人で争う団体には特別な思い入れがある。「僕1人では限界がある。全体を盛り上げたい」。チームとして好結果を残すことがフェンシング界の発展につながると考える。
共に銀メダルを手にした仲間のうち、同じ学年の千田健太が最も気心の知れた存在だ。東日本大震災で親友を亡くした千田を思い、決勝後は「本当は健太にメダルをプレゼントしたかった」と、何度も繰り返した。
「雄貴は僕の最大のライバル」と言い切る千田は、太田の気遣いに「本当にうれしい。何度も(ピンチに)チームを救ってくれた。感謝してもしきれない」と感激の面持ちだった。
三宅諒と淡路卓の若手2人も立派な戦力として成長した。三宅は「これからはチームの推進力になって引っ張りたい」と頼もしく話した。
金メダルにこだわった太田は、悔しさの余りに銀メダルを首からすぐに外した。しかし「若い選手が出てきているので4年後(の五輪)も頑張るだろう」と納得の表情。自身の4年後について聞かれると「そこは聞かないで下さい」と言葉を濁した。