村田金王手!大逆転48年ぶり快挙へ
「ロンドン五輪・ボクシング男子ミドル級・準決勝」(10日、エクセル)
男子ミドル級準決勝が行われ、同階級で日本勢初のメダルを決めた村田諒太(26)=東洋大職=は、世界選手権V2の実績を持つアボス・アトエフ(ウズベキスタン)に13‐12で判定勝ちし、銀メダル以上が確定した。11日に行われる決勝では東京五輪バンタム級を制した桜井孝雄(故人)以来、48年ぶりの金メダルを懸けてE・ファルカン(ブラジル)と対戦する。バンタム級準決勝の清水聡(26)=自衛隊=は、キャンベルに判定負けし、銅メダルに終わった。
48年ぶりの悲願へ、王手をかけた。序盤からお互いに額を押し付けあっての接近戦。村田の手数が上回っていたが、有効打はアトエフの方が多く、1Rを1‐4でリードされる。2Rも序盤は同じ展開で進んだが、後半から圧力を強めた村田が攻勢に出ると、最終Rでは疲労の色が見えたアトエフを圧倒。試合終了と同時に村田は両手を挙げて勝利を確信した。逆転で決勝に駒を進めた。
「かなりほっとしています。やっと目標を達成できるところまできた。最終ラウンドはポイントを取ったと思ったので勝ったと思った」
その拳には“正義”が宿っている。4年前、北京五輪の代表選考に敗れ、08年3月に引退した。その後、東洋大職員として学生の指導にあたっていたが、1年後に事件が起こった。元部員の学生が覚せい剤の密輸に関わったとされ逮捕。部は活動自粛を余儀なくされた。
母校、そしてボクシングのために、自分に何ができるのか。その答えが現役復帰。そして、五輪への再挑戦だった。フルタイムで仕事を続けながら、黙々と練習をこなした。拳で、背中で部員たちを鼓舞し続けてきた。
11日の決勝では「当然金メダルを狙っていく。だれも取ってない銀メダルよりも、48年ぶりの金メダルの方がいいに決まっている」と闘志を燃やした。今年亡くなった1964年東京五輪バンタム級金メダリストの桜井孝雄氏(享年70)以来の偉業に挑む。