中村じん帯手術からの復活誇りに2大会ぶり2度目の銅メダル獲得
「リオ五輪・柔道・女子52キロ級・3位決定戦」(7日、カリオカアリーナ)
3大会連続出場の中村美里(27)=三井住友海上=が、08年北京大会以来2度目の銅メダルを獲得した。
また心の底から笑うことはできなかった。3大会連続出場となった中村だったが、“3度目の正直”の金メダルはならず、北京と同じ銅メダル。ただ、表情には充実感もにじんだ。「正直、この舞台に立てるとは思ってなかった。4年間やってよかった」-。
初戦で敗退したロンドン後は引退を考えた。再び競技に向き合うきっかけを作ってくれたのは新たな仲間だった。失意の帰国後、「普通に生活していくためにも、じん帯はあった方がいい」と、09年に断裂していた左ひざ前十字じん帯の再建手術を受けた。リハビリをこなす中で、女子サッカー、スキー、カバディなどさまざまな競技の選手たちと出会い、これまで柔道しか見てこなかった視野が広がった。
サッカー選手からはリフティングを習い、マイナー競技の選手からは競技環境を聞き、いかに柔道が恵まれているかを知った。仲間たちが次々と復帰し「次は美里の番だね」と肩を叩かれると「うん!!」と答えていた。
当時教えてもらったリフティングは731回もできるようになった。再び立った夢舞台の畳。過去2大会はできなかった、会場の風景をしっかりと目に焼き付けられる自分がいた。今後については「今は何も考えられない」と話した。ただ、この風景と2つ目の銅メダルは、きっと今後の人生の糧となる。