松本薫24秒負け銅メダル 精神面が敗因
「リオ五輪・柔道女子57キロ級」(8日、カリオカアリーナ)
連覇の夢は準決勝で散った。女子57キロ級の松本はわずか24秒で一本負けを喫し「一瞬の隙を自分でつくってしまった」と悔やんだ。
ロンドン五輪では闘争心あふれる表情と闘いぶりで「野獣」のニックネームがついた。この日も相手に襲いかかるような柔道で勝ち上がったが、ドルジスレンとの準決勝で落とし穴にはまった。
開始早々の背負い投げをこらえて「大丈夫」と思ったという。だが、重心が上がったところに続けざまの背負い投げを食らい、畳にたたきつけられた。「試合中に『大丈夫』というのは絶対にない。そう思ったことが、4年前との違い」と精神面を敗因に挙げた。
肘や肩のけがも重なり、ロンドン五輪後は実戦から遠ざかった。五輪女王の重圧にも苦しんだ。14年世界選手権では2回戦で敗退し「プライドを捨て、一からやり直そう」と再起を誓った。下半身を鍛え、ロシアの格闘技サンボに取り組むなどして寝技も強化した。
昨年の世界選手権で復活優勝し「私は強くなった」と手応え。だが、2度目の五輪では心技体の心の部分にほころびが出てしまい、金メダルがするりと逃げた。意地で獲得した銅メダルを「悔しさと、メダルを取ったという安心感で甘酸っぱい感じ」と表現したが、穏やかな表情を一瞬引き締めて「腹の中は煮えくりかえっている」と本音をこぼした。