「リオ五輪・陸上男子１００ｍ・予選」（１３日、五輪スタジアム）

　予選が行われ、４組のケンブリッジ飛鳥（２３）＝ドーム＝は向かい風０・５メートルの中、スムーズな加速で１０秒１３をマークし２着でゴール。１０秒２０の８組２着で入った山県亮太（２４）＝セイコーホールディングス＝とともに、準決勝進出を決めた。桐生祥秀（２０）＝東洋大＝は３連覇を目指すウサイン・ボルト（ジャマイカ）と同じ７組で走り、後半伸びず１０秒２３の４着で予選落ち。ボルトは終盤に流し、１０秒０７の７組トップでゴールした。

　今季の勢いそのままに、初めて臨んだ五輪で予選を突破した。陸上男子１００メートルで進境著しいケンブリッジが準決勝に進んだ。「楽しみでしょうがない。今までで一番いい走りをしたい」と胸を高鳴らせていた２３歳のスプリンターが、まずは世界の扉を一つ開き「良かったです。とりあえず予選突破してひと安心です。イメージどおりです。うまく調整したのが試合で出せた」と事もなげに話した。

　大舞台の緊張などない。１０秒１３のタイムについて聞かれると「次が楽しみです。こういう雰囲気はなかなかないんで、楽しめてます」と笑った。

　父がジャマイカ人で、母が日本人。昨季までは桐生、山県の陰に隠れた「第３の男」だった。今季は日大時代から悩まされてきた左太もも裏の不安が消えたことに加え、継続的に取り組んできた筋力トレーニングの成果がかみ合って躍進。大きなストライドと後半の伸びが持ち味で、日本選手権では両雄を抑えて頂点に立った。

　五輪切符獲得後は欧州に遠征。海外でのレース経験を積み「日本とは違う環境でどういう走りができるかを確かめられた」と手応えを深めた。

　脚の運び方などから、所属先の大前コーチは元世界記録保持者のアサファ・パウエル（ジャマイカ）の走りに教え子の姿を重ねる。目標の決勝進出を懸け、１４日に２度目のスタートラインに立つ。