白井まさか4位 着地決まらず「心の小ささが出た」
「リオ五輪・体操男子種目別ゆか・決勝」(14日、リオ五輪アリーナ)
男女の種目別決勝が始まり、男子床運動では世界王者の白井健三(19)=日体大=が着地でのミスが続き、得点を伸ばせず15・366点で4位に終わり、メダルを逃した。白井は15日の跳馬で初の五輪個人メダルを狙い、成功すれば新技に認定される伸身ユルチェンコ3回半ひねりに挑戦する。団体、個人総合と2冠の内村航平(27)=コナミスポーツ=は、個人総合で発症した腰痛の影響が響き、15・241点で5位にとどまり今大会3つ目のメダルには届かなかった。
明らかに本来の白井健三ではなかった。着地が決まらない。序盤の自身の名がつくシライ2で尻もちをつきそうになると、中盤の前方伸身宙返り2回半ひねりも着地でつまづいた。最後のシライも後ろに一歩。ミスが続いた内容に、演技後、両親がいる応援席に向かって、ゴメンとばかりに手を合わせた。
メダルに届かない4位。「緊張はしていなかった。ただ、ラインオーバーを気にしすぎた。自分の心の小ささが出た」。3度の世界選手権、団体金メダルに貢献した今大会と、ここまで発揮してきた強心臓が、ここ一番で縮こまった。
ともに出場した内村は白井の異変に気づいていた。「表情が硬かったので、ちょっとやばいかなっていうのはあった。やっぱり五輪は違う。あいつも人間なんだなって思った」。自身も12年ロンドン五輪では平常心を失い、ミスが続いた。「乗り越えるには経験しかない。健三はこれで終わりじゃない。僕も自分のことのように悔しいけど、ここまでやってきた健三を褒めたい」と、思いやった。
20年東京五輪のエースとして期待される19歳には、まだこれを糧とする時間は十分残されている。15日の跳馬では、新技に挑戦予定。そして、その先にも道は続く。「同じ失敗はもうしない」。顔は笑っていた。ただ、その言葉は自らに言い聞かせるように、強く、深く吐き出された。