卓球男子 逆転ドイツ撃破!銅メダル以上が確定 水谷2戦2勝で歴史的メダル
「リオ五輪・卓球男子団体・準決勝、日本3-1ドイツ」(15日、リオ中央体育館)
ロンドン五輪5位の日本は、前回銅メダルのドイツに3-1で逆転勝ちし、銀メダル以上が確定した。08年北京五輪から始まった同種目でのメダル獲得は初めて。第1試合のシングルスで吉村真晴(23)=名古屋ダイハツ=が敗れたが、その後はシングルスで水谷隼(27)=ビーコン・ラボ、ダブルスで吉村、丹羽孝希(21)=明大=組、シングルスで水谷が3連勝した。17日(日本時間18日)の決勝で3連覇を狙う中国と対戦する。
4年前のロンドン五輪では“ガラスのエース”だった水谷。五輪前は「負けたらどうしようと考え込んでしまったら眠れなくなった」と、飲酒して無理やり眠る生活を送り、とても勝負できる状態ではなかったという。
その反省からロンドン後は大きな大会の前にメンタル講習を受けるようになった。「考え過ぎてもプレーは変わらない」と気持ちの持ち方も徐々に変わっていき、今回のリオでは「もう先生がいなくても大丈夫」と言い切れるまでになった。
技術は折り紙付き。最近は「相手が水谷隼を恐れているのを試合中に感じる」と言い放つまでに自信をつけた。真のエースへと成長したことが、悲願のメダルにつながった。
水谷が振り抜いた強烈なフォアハンドは卓上をバウンドし、また一つ、日本卓球史の扉を開いた。2戦2勝と存在感を発揮し、シングルス銅メダルに続き、2つ目のメダルを獲得。「シングルスは自分の夢、団体戦ではみんなの夢をかなえたかった」。喜びが全身を駆け巡り、両腕を握ったまま後ろに倒れ込む“代名詞”のガッツポーズが飛び出した。
エースのプライドを見せつけた。吉村が敗れた後の第2試合。水谷の相手は、過去1勝15敗と分の悪い元世界ランク1位のボルだった。「ここで自分が取らなきゃチームは負けると思った。みんなに弱い所を見せてはいけない」。序盤に6連続で失点したものの、「相手の手がサーブで震えているのが見えた」と精神的に優位に立ち逆転。その勢いでストレート勝ちし、チームに勢いをもたらした。
「根暗でダサくてかっこ悪い卓球のイメージを変えたい」。15歳で日本代表入りした卓球界きっての大エースの悲願だった。どれだけ活躍しても注目されない。ロンドンでは女子が銀メダルを獲得したが、男子は陰に隠れた。4年に1度の祭典は、男子卓球のメジャー化への千載一遇のチャンスだった。
触発されたのは、前日に男子テニスで日本勢96年ぶりのメダルを獲得した錦織圭。「選手村のテレビで見てて感動した。錦織君とは国内の練習施設でたまたま会って、『お互いリオで頑張ろう』と言い合った」。スーパースターでもある同級生の歴史的メダルに負けじと、歴史的メダルを獲ってみせた。
「こうやって活躍することで卓球もカッコいいというイメージにできる。そうすれば競技人口も増えるし、卓球で食べていける選手たちも増えると思う」
さらなる飛躍に向けて、最後の砦は中国。倉嶋洋介監督は「針の穴に糸を通すような戦いになる」と覚悟を決め、水谷は「相手が中国だと意識してしまうと何も変わらない。自分が思ってるよりは大したことないと思う」と世界最大の下克上に向けて気合を入れた。