登坂 人の意見を取り入れる“センス”が生んだ偉業
「リオ五輪・レスリング女子フリースタイル48キロ級・決勝」(17日、カリオカアリーナ)
女子48キロ級で、登坂絵莉(22)=東新住建=が金メダルを獲得した。
「リオで絶対金メダル!!」。登坂は自ら立てた目標をしっかりと達成してみせた。
「目標あって結果あり」。小学校の卒業文集で登坂が書いた作文のタイトルだ。文中に書かれた「意識の差が結果の差」という言葉とともに、それは父・修さんが娘のレスリングノートに何気なく記した“座右の銘”だった。
修さんが医薬品の営業時代、ライバル社で大きな売り上げをたたき出していた“カリスマ営業部員”に言われた言葉がある。「なあ、流れ星に願い事をするとなぜかなうかわかるか?」。初めはからかわれていると思ったが「1秒くらいの間に願い事をするには、常にその事を強く意識していないとできない。そう言われてなるほどと思いました」。そこにヒントを得て、つくった言葉が「意識の差が結果の差、目標あって結果あり」だった。
運動神経抜群で、学業もほぼ「オール5」。そんな登坂の強みは、人のアドバイスや言葉を取り入れる“センス”だった。道場でコーチもする修さんは言う。「同じことを言っても響かない子は響かない。ただ、絵莉は人の話を素直に自分に取り入れる能力があったんです」。最近では人に勧められたという吉田松陰の本を愛読し、自分流に取り入れていた。
身長152センチの小さな女子ファイターは、吉田沙保里、栄和人チームリーダーをはじめ、出会う人、出会う人のいいところを取り入れていける素直さで金メダルをつかんだ。