ボルト圧勝敵なし3大会連続2冠 100mに続き200mも3連覇
「リオ五輪・陸上男子200m・決勝」(18日、五輪スタジアム)
男子200メートル決勝でウサイン・ボルト(29)=ジャマイカ=が19秒78で勝ち、08年北京、12年ロンドン両五輪との3連覇を達成した。100メートルと合わせ、3大会連続2冠に輝いた。約1カ月半前のジャマイカの国内選考会で左太もも裏を痛めて状態が心配されたが、100メートルを今季自己最高の9秒81で制し、200メートルも強さを発揮した。今回が最後の五輪出場としており、19日(日本時間20日午前)の400メートルリレー決勝で3種目制覇を目指す。
金メダルは絶対に譲れない種目だった。ボルトはジュニア時代から愛着のある200メートルで貫禄の優勝を果たし、100メートルに続いて史上初の3連覇を達成した。鳴り響く「ウサイン・ボルト」コールに身を預け「もう何も証明する必要はない。200メートルは大好きな種目。すごく集中してきたから、ほっとした」と誇らしげに話した。
スタートを切ると、ぐんぐん加速した。トップで直線に入ると、向かい風0・5メートルの中、大きく腕を振り、長い脚を回し、最後まで歯を食いしばって走った。「体が反応しなかった。年を取っている」と言いながらも、タイムは準決勝と同じ19秒78で圧勝。トラックにキスをし、得意の弓矢を射るポーズを披露した。
これが五輪の個人種目最後のレースになる。陽気な王者は、ドーピング問題が影を落とす陸上界の希望の光であり、100メートルの9秒58、200メートルの19秒19の世界記録はまばゆい輝きを放つ。全盛期には劣るかもしれないが、今も群を抜いた速さを維持するボルトを倒す選手は3大会連続で現れなかった。
「何事も可能だ。限界はない」と口にする。生まれながらに背骨が曲がり、196センチの長身は短距離で大成するには大きすぎるとも言われていた。高校卒業後は誘いのあった陸上大国の米国に渡らず、母国を拠点に練習に励んだ。衝撃的な記録で統計の専門家の予想を覆し、常識を打ち破り続けてきた。
残る種目は400メートルリレーのみ。目指すのは「不滅」の存在だ。今大会三つ目の金メダルを懸けて五輪最後のレースに挑む。