レスリング樋口が銀 野菜嫌いのマカロン好きがやった!「後悔はない」
「リオ五輪・レスリング男子フリースタイル57キロ級・決勝」(19日、カリオカアリーナ)
初出場の樋口黎(20)=日体大=が銀メダルを獲得した。レスリング日本男子ではグレコローマン59キロ級の太田忍(22)=ALSOK=の銀に続く2個目のメダルとなった。野菜嫌いの偏食家でマカロンが大好物の甘党は「東京で誰よりもいい結果を出すためのステップにしたい」と20年東京五輪での金メダルを誓った。男子フリースタイル74キロ級の高谷惣亮(27)=ALSOK=は3回戦敗退に終わった。
日本伝統の軽量級に新星が現れた。五輪初出場で銀メダルを手にした樋口は「一番じゃないとダメと言い聞かせてやってきた。悔しい部分はあるが、持てる最大の力は出したので後悔はない」と充実感に包まれた。
世界選手権出場などの実績がない“隠し玉”が、切れ味鋭い片足タックルを武器に2人の世界王者を破る快進撃を演じた。和田監督は「国際経験の少なさがメリットだった」と説明。決勝では昨年の世界選手権覇者キンチェガシビリ(ジョージア)に屈したが「世界でも十分通用する戦いができた」と胸を張る、堂々の戦いぶりだった。
大の野菜嫌いでお菓子好きという偏食家。マカロンは「1日10個くらい食べられる」と言い、フランスの老舗「ラデュレ」のピスタチオ味がお気に入りという“スイーツ・レスラー”ぶりだ。体操の内村航平の好物として有名になったチョコレート菓子「ブラックサンダー」を練習前に食べて、周囲から注意されたこともある。
当然、減量には苦しみ、昨年6月の全日本選抜選手権は計量で失格。五輪出場を懸けた3月のアジア予選でも2・5キロオーバーのため、1日早く現地入りするなど関係者を慌てさせた。失態を猛省した樋口はお菓子を我慢し「気が狂うくらい」野菜も食べて、五輪では減量を成功させた。
魔物が棲(す)むといわれる五輪を前にして「何とか魔物と友達になって力を貸してほしい」と笑う強心臓ぶり。初の大舞台を終え「東京で誰よりもいい結果を出すためのステップにしたい」と早くも4年後を見据えた後に、「1回くらいマカロンを補給しないと」とおどけて笑った。名前の「黎」は「新しい時代を切り開いていけるように」と黎明(れいめい)の「黎」から付けられた。弱冠20歳のホープが、日本レスリング界の未来を切り開く。