“味の素食堂”24時間体制 早朝から深夜まで幅広い競技時間に対応
4年に一度の大舞台で、全ての力を出し尽くしたい-。そう願う選手の思いを、毎日の温かい食事から支えようという取り組みが進んでいる。平昌五輪で日本選手団がコンディションを維持・発揮することを目的に、日本オリンピック委員会(JOC)は現地に食事施設を2カ所設置。食品メーカー「味の素」が運営し24時間態勢で選手をサポートする。寒いゲレンデやリンクを離れ、ホッと心休まるひとときを作るべくフル稼働する“食堂”に迫った。
メダル獲得が期待される氷上種目の江陵地区では、特に不眠不休の働きが求められる。
その理由は競技時間。フィギュアスケートは早朝から練習が始まり、競技開始は10時。一方、スピードスケートは競技時間がきわめて遅く、金メダルが期待される高木美帆(23)=日体大助手=の女子1500メートルは21時半から競技が始まり、終了は23時過ぎ。どちらにも対応できるサポート体制が必要だ。
参考になるのは、リオ五輪競泳。通常の決勝は17~20時頃だが、リオ五輪は21~24時と、ずれた時間帯で行われた。リオ入り後からレースまでの約1週間、3時間遅く起きるなど、時間をずらして生活。金2個を含む計7個のメダルを獲得した。今回も「この“時差”対策が生きる」と、味の素「ビクトリープロジェクト」の栗原秀文マネジャーは言う。
体内時計に影響を与える一番の要素は光。もう一つ重要となるのが食事だ。グルコース(ブドウ糖)を摂取することで血糖値が上昇。これが、体に朝を知らせてくれる。
夕方から夜にかけての試合が多いフィギュア勢は、朝から動くことに慣れなければならない。重要となるのは朝食をしっかりと摂取すること。胃を動かし、たんぱくを取って体温を上げることが必要だ。栗原氏は、朝食に量を食べて体を起こす経験に慣れさせるべく、昨季のGPファイナル(マルセイユ)やプレ大会だった四大陸選手権で、朝食の量を増やす試みをひそかに実施してきたという。最初は戸惑った選手も徐々に対応した。
本番は4時起きを想定。早朝はスタッフの選手村への出入りができないため、前日の夜に出来合いのものを連盟へ渡すことで、早朝でも朝食を摂取できる体制を整備した。朝から深夜までフル稼働で本番に備える。