小平「日本中、世界へ勇気と感動を」 戦友の死…悲しみ胸に主将決意表明

 平昌五輪(2月9日開幕、韓国)に出場する日本選手団の結団式が24日、東京・大田区総合体育館で行われた。選手団主将を務めるスピードスケート女子の金メダル最有力候補・小平奈緒(31)=相沢病院=が「日本中、さらには世界へ、勇気と感動を届け、未来への希望となれるようにチームジャパン一丸で頑張ります」と決意表明した。大学時代の同級生で、14年ソチ五輪でともに戦った住吉都さんの突然の訃報が日本スケート界に衝撃を与える中、悲しみを胸に、夢舞台で戦い抜く覚悟を示した。旗手のノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明(45)=土屋ホーム=は海外遠征中で欠席したため、同女子の高梨沙羅(21)=クラレ=が代行を務めた。

 左サイドを短く刈り上げたヘアスタイルに、3度目の夢舞台への気合が表れていた。メダルラッシュの期待がかかるチームジャパンの主将を務める小平は「日本中、さらには世界へ勇気と感動を届け、未来への希望となれるようにチームジャパン一丸で精進することを誓います」と、引き締まった表情で決意表明した。

 胸には大きな悲しみを抱えていた。20日に信州大の同級生で、ソチ五輪でともに戦った住吉都さんが急逝。大役を終えた後、切磋琢磨(せっさたくま)してきた戦友について自ら口を開き、涙した。

 「大学4年間、一番近くで一緒にやってきた仲間がこういった形になり、私自身信じられない思い…」。年明けには一緒に食事をしていた。「本当に住吉は信州大の入試の時から思いきりがよくて、私なんかは『落ちたら人生が決まっちゃう』って緊張していたけど、住吉は『やるしかない』って言っていた。お互いに入学できて、本当に一番近くで高め合いながら、スケートを極めてこられた」と、思い出に浸った。

 23日には結城コーチとともに、住吉さんに別れを告げてきた。「私が住吉から学んだのは、すごくスケートに一生懸命な姿。その姿が頭から離れない。ご家族から『都の分までスケートを頑張って』と言ってもらった。平昌五輪でしっかりと自分の力を出して、スケートが好きな気持ちを皆さんにみてもらいたい」と涙をぬぐい、前を向いた。

 昨季から国内外で負けなしの24連勝中と無敵の500メートル、そして昨年12月に世界新記録をマークした1000メートルでの2冠の期待がかかる絶対女王は“魔のジンクス”に立ち向かう。過去冬季五輪の主将に金メダル獲得者はいない。

 98年長野五輪複合の“キングオブスキー”荻原健司、02年ソルトレークシティー五輪でのジャンプ男子の原田雅彦ら、ビッグネームが涙をのんできた。ただ重圧は覚悟の上で、大役を引き受けた。「昨季から成績がついてきた中で、私にしかできない役目。今、私がやるべきことだと思った」と、力強く言ってのけた。

 主将としてテーマに上げたのは「百花繚乱(りょうらん)」。「活躍できる選手がそろっている。それぞれの競技で、それぞれの選手が大きな花を咲かせられたら」。主将自身が有言実行を果たした時、きっと日本中に、そして天国にも、笑顔の花が咲く。

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