モーグル原、銅メダル 日本選手団メダル第1号は20歳 伏兵が大仕事
「平昌五輪・モーグル男子・決勝」(12日、フェニックス・スノーパーク)
男子モーグルで初出場の原大智(20)=日大=が、今大会の日本選手団メダル第1号となる銅メダルを獲得した。20人による決勝1回目を3位、12人で争った2回目をトップで通過し、メダルを懸けて6人で争う3回目に82・19点で3位となった。ソチ五輪銀メダルのミカエル・キングズベリー(カナダ)が金メダルを獲得した。遠藤尚(27)=忍建設=は10位、堀島行真(20)=中京大=は11位。ともに2回目で転倒して敗退した。西伸幸(32)=マンマーノフーズ=は1回目で19位にとどまり、2回目に進めなかった。
今大会での日本勢の、そして男子モーグル界新時代到来を告げたのは20歳の新鋭だった。得点が表示された瞬間、原は跳びはねて隣にいた金メダルのキングズベリーに抱きついた。今季W杯の最高順位が9位。過去のW杯で表彰台経験すらなかった伏兵が、今大会メダル第1号、日本男子モーグルに初のメダルをもたらした。
「すごく楽しかった。滑りたくて仕方がなかった。ミスる気がしなかった。3位と聞いて金メダルじゃなかったと思ったけど、頭が真っ白になって…。やったあって」
とがった平昌のコブに有力選手の多くが苦しんだ。W杯で優勝経験のある堀島も、2位経験もあるベテランの遠藤も決勝2回目で転倒。だが、予選を6位で突破した20歳は決勝2回目をトップで通過すると、大トリとなった最後の決勝3回目も安定したターンを披露。エア点は6人中4番目だったがターン点は2位。平昌入りしてから極度の緊張で頭痛や吐き気などの体調不良に見舞われたが、コブを攻めきってメダルを獲得した。
「このコースが合っていて、滑りやすいというのが最初の印象。こういうとがったコブが好きで、自分の技術に合っていた。なんだか知らないけど、決勝滑るころには楽しくて楽しくて仕方がなかったんです」。東京・渋谷生まれの都会っ子。中学を卒業後、カナダに留学したのが転機だった。本場でのモーグル修行は「辛かった思い出でしかない。そのときに鍛えられた精神力がここで発揮されたのかな」。さらに昨年3月に世界選手権を制した1学年下の堀島も刺激になった。
「目立ちたがり屋なんで、堀島が注目されて悔しかった。きょうは銅メダルだったけど、堀島に勝ったあって」。現在は日大に通う大学生、昨年のトークショーでファンから「コブの攻め方は?」と聞かれて「ボクはつぶすだけ」と答えたパワーモーグラー。言葉とは裏腹に、苦手なエアも進境を見せた新鋭が、晴れやかな笑顔で表彰台に立っていた。