女子ジャンプをけん引してきた2人の夢結実 幼き頃のように山田コーチが沙羅を抱っこ
「平昌五輪・スキージャンプ女子ノーマルヒル」(12日、アルペンシア・ジャンプセンター)
ソチ五輪の雪辱を狙った高梨沙羅(21)=クラレ=は2本合計243・8点で3位となり、日本女子ジャンプ初の銅メダルを獲得した。高梨は1本目、2本目とも103・5メートルの好ジャンプを披露し、4年前には届かなかったメダルをもぎ取った。マーレン・ルンビ(ノルウェー)が264・6点で優勝。2位にはカタリナ・アルトハウス(ドイツ)が入った。
メダルという日本女子ジャンプの1つの夢がかなった。取材を終えた高梨を、先駆者として女子ジャンプをけん引してきた山田いずみコーチが出迎え、抱っこした。それは高梨が自室に飾る幼き日の写真と同じ風景だった。
女子選手として初めてノーマルヒル、ラージヒルを飛んだ山田コーチはソチ五輪での正式種目入りが決定する2年前の09年に引退。引退式で花束を渡してくれたのは、沙羅だった。沙羅は常に「今、自分たちが五輪を目指せるのは、先輩たちのおかげ。だからこそ恩返ししたい」と、口にしてきた。
メダルを逃した14年ソチ五輪の時、山田コーチは「メダルを見せてあげられなくてごめんなさい」と涙を流す沙羅を抱きしめ、同じく涙を流しながら言った「本当によく頑張った。次の五輪でこの悔しさを晴らそう。きょうがスタートだよ」-。
この日沙羅は山田コーチに言われたという。「それは(山田)いずみコーチにも言われた。『何より顔がいい』って。『ソチの時の顔よりも私は今の顔の方が好きだよ』と言われました」。日本女子ジャンプの歴史そのものといえる2人。その歩みが輝くメダルとして結実した。