期待したい石田、代表選考には疑問も 「成田収平 スキーの味方の見方」
距離の石田正子の名前を記憶したのは、ノルディックスキーの聖地といわれるオスロのホルメンコーレンでした。ワールドカップ(W杯)が開かれた競技場近くのホテルで会いました。日本大学の学生で、瞳を輝かせたかわいい女性という印象でした。すれ違いざまに「Are you from?」と聞いたら、「日本人です。成田さんですよね」と笑顔で返してくれました。いまさらですが失礼なことを聞いたと反省します。あれからあっという間に年月が過ぎました。
37歳になった石田が4度目の五輪に挑んでいます。2016年6月に発表された全日本スキー連盟(SAJ)の五輪派遣基準を、昨シーズンに早々と満たしました。ノルウェーのクラブチームに所属し、厳しい環境を自ら選択して、五輪にピークを合わせるべく試合とトレーニングで調整を続けました。
昨年11月にメールで「大丈夫だから自身を信じて進んでください」と伝えると、「練習はしっかりできて前に進めると思います。収平さんから五輪までやれと言われたので、頑張ります」。(笑)マーク付きで返信してくれました。
10日の距離複合は14位、15日の10キロフリーは18位でした。まずまずでしょう。狙っているのは最終日の25日にある、30キロクラシカルです。8年前のバンクーバー五輪で日本の距離史上最高の5位に入った種目です。期するものがあると思いますし、私も期待してしまいます。
今回の距離の日本代表は女子が石田、男子は吉田圭伸で、それぞれ1人だけです。SAJの派遣基準は前回のソチ五輪と全く同じく厳しいものでした。当時競技本部長だった私が設定の責任者でした。競技団体の使命である、金メダル獲得を目指すためです。
昨夏に私はSAJを離れました。その後、選考に新しい基準が加えられました。アルペンの回転と大回転は2017年12月の全日本選手権優勝者にも出場権を与えるというものでした。距離にもリレーで得られる枠を設けましたが、アルペンのような個人種目への追加はありませんでした。アルペンで変更できるなら、距離も変更しなければ公平性に欠けると思いました。競技に親しみ、励む多くの中学生、高校生に夢を与えるというのなら、距離にも同じような措置をするべきではないでしょうか。
今はSAJという組織の外にいる私ですが、スキースポーツを愛する者として指摘しました。