フィギュアスケートで６６年ぶりの連覇を果たした男子の羽生結弦（２３）＝ＡＮＡ＝が１８日、快挙から一夜明けて平昌のジャパンハウスで会見した。現役続行を表明している羽生は、その唯一のモチベーションが世界初となるクワッドアクセル（４回転半ジャンプ）への挑戦であると告白。負傷した右足首の回復を優先するため休養も視野に、幼い頃から描いてきた目標の達成を誓った。

　王者の野望は果てしない。男子６６年ぶりの連覇を成し遂げた羽生の次なる挑戦はクワッドアクセルだ。以前から「将来的にはやりたい」と語っていたが、ついに挑戦を高らかに宣言。「取るものは取ったし、やるべきこともやった。あとは小さかった頃に描いていた自分の目標。夢じゃなくて目標をかなえてあげるだけ」と、達観した表情で語った。

　これまで試合での成功者はおらず、大好きな「前人未到」への挑戦となる。しかし、前人未到だから挑むのではなく、ショートプログラムで満点の加点がついた完璧なトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）を決めるなど「最後の最後に支えてくれた」絶対的相棒を、さらに進化させたい思いが強い。「スケートを辞めたいというのは、まったくない。モチベーションは４回転アクセルだけ」とまで言った。

　気持ちは前のめりだが、挑戦の時期は痛めている右足首の回復状況次第となる。複数の箇所を痛めており、現在も「痛み止めを飲まないとジャンプを降りれる状態でも、跳べる状態でもない」と説明した。４回転半となれば、着氷する右足への負担はさらに大きくなる。「治療期間がほしい」とも口にしており、長期休養の可能性にも触れた。

　小学２年から高校時代まで指導を受け、羽生のアクセルの基礎を築いた都築章一郎コーチは「アクセルは王様のジャンプだ」と語っていたという。究極の形を追い求めることは、アクセルジャンプをこよなく愛する羽生の最後の使命でもあるのだろう。“キング・オブ・ジャンプ”を体現することこそ、羽生が思い描く最高のフィナーレだ。