小野塚、涙の5位「やりきれてよかった」第1人者としてけん引するも…
「平昌五輪・スキーハーフパイプ女子・決勝」(20日、フェニックス・スノーパーク)
女子ハーフパイプ(HP)決勝で、前回ソチ五輪の銅メダルに続く表彰台を狙った小野塚彩那(29)=石打丸山ク=は82・20点で5位だった。キャシー・シャープ(カナダ)が95・80点で初優勝した。
力の限りに舞った。6位で迎えた小野塚の3回目、冒頭の900(2回転半)から、着実にトリックを決め続けて82・20点をマークし、5位に浮上。「メダルは取れなかったけど、今、自分ができることはしっかりと出し切った。悔しいのは悔しいけど、やりきれてよかった」。晴れ晴れと笑った後、津田コーチと抱き合い、涙した。
ソチ五輪では銅メダルを獲得。ただ、フィギュアスケートの浅田真央が奇跡の演技を見せた日と重なった。スキーHPの競技普及への効果は本人も驚くほどなかった。ソチ後は「引退しようかな」と思っていたという。それでも「この競技の面白さを伝えたい」。その思いが勝った。W杯総合制覇や世界選手権優勝も成し遂げ、第一人者としてけん引し続けてきた。
ただ、ソチ五輪で初めて採用された、まだまだ歴史の浅い種目。大国が本気で強化に乗り出してきたこの2年でレベルは飛躍的に上がった。上位はさらに回転数を増やした1080(3回転)や、縦回転を入れるトリックを決めるなど技は高度化した。
小野塚自身も「4年前に比べたら、技数もやれることも増えた」と話すが、世界はさらにその上をいく。4位とは8点以上、優勝のシャープには13点以上の大差をつけられた。
今後はさらなる進化が要求されることになる。一昨年に結婚もしている小野塚は「食らいついていかないといけないけど」としつつ、「この先のことは考えられない」と、進退は明かさなかった。日本の第一人者が、大きな岐路に立たされた。