「そだねー」で好感度アップ 露出拡大のカーリング

 五輪効果でカーリング人気が高まっている。日本の男子はベスト4入りを逃したが、女子は準決勝に進出。スキップ藤沢五月らの絶妙なショットと明るいチームカラーで魅了し、ファン層を拡大している。

 ▽自然なフェアプレー

 日本のテレビで、これほどカーリングが露出したのはおそらく初めてだろう。

 これまでの五輪でもカーリングは、スキーやスケートなど注目競技の合間に放映され、一部ファンに支持されていた。しかし時差のある欧米での五輪では、日本での放映は深夜や未明の時間帯が多かった。

 ところが、平昌五輪は時差がない。カーリングが日本のゴールデンタイムに堂々と登場したのだ。

 テレビ音声が、選手たちの競技中の会話を明瞭に拾っている。生の声が興味を増幅している。「ここはよく曲がるからね」「そだねー」「こっちを狙った方がいいんじゃない」「そだねー」。4人全員が北海道出身。北海道特有のさっぱりした話し方も好感度を上げている。

 選手たちは胸元にピンマイクを付けている。スポーツの試合では、チーム内のやりとりで外部に出せないような言葉が出ることもある。カーリング選手は声を聞かれていることを意識しているから、相手をおとしめるような言葉は発しない。

 こうした環境も、自然とフェアプレーの精神を育んでいるのだろう。

 ▽対日感情も和らぐ?

 失敗しても大げさに落胆したそぶりを見せないのも、おしゃれだ。1エンドに8投ずつを放ち、10エンドまで進むと1チームで80ショットを投げる。

 例えば野球では、投手も打者も勝負を分ける一球、一振りで天国と地獄を味わい、その分、リアクションも大きい。カーリングでも大事な局面が次々と巡ってくるが、1投ごとに感情を表していては選手も観客もストレスがたまってしまう。

 好ショットでも、ミスショットでも、にこやかにハイタッチ。さりげなくゲームが進行するのもいい。

 開催国の韓国でも、日本女子のさわやかな試合ぶりが注目を集めているそうだ。ネット上でも、笑顔を絶やさないスタイルに賛同する韓国ファンの書き込みが急増しているという。

 韓国はスポーツでも日本に対して常に敵対心を見せてきた。五輪ではフィギュアスケート金メダルの羽生結弦らとともに、日本の「カーリング娘」が支持を集めている。厳しかった対日感情を少し和らげたかもしれない。(共同通信=荻田則夫)

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