高梨沙羅 メダル届かず4位 涙「もう私の出る幕ではないのかな」

 4位に終わり、瞳を潤ませながら引き揚げる高梨沙羅(撮影・高部洋祐)
 2本目を終え、仲間のねぎらいに涙をぬぐう高梨(手前)
 高梨の2回目の飛躍(共同)
3枚

 「北京五輪・ノルディックスキージャンプ・女子ノーマルヒル・決勝」(5日、国家スキージャンプセンター)

 ジャンプ女子ノーマルヒルで2018年平昌五輪銅メダリストの高梨沙羅(25)=クラレ=が1本目で98・5メートル、2本目100メートルで合計224・1点で4位に終わり、2大会連続のメダルに届かなかった。3度目の五輪でも頂点を逃した高梨は「もう私の出る幕ではないのかな」と話し、今後の進退について明言を避けた。

 氷点下15度の凍(い)てつく風が小さな体に染みた。高梨は1本目で5位となり、勝負を懸けた2本目。意地で100メートルのジャンプを決めたが、1、2本目をきっちりとそろえた欧州勢に届かず。メダルを逃すという厳しい現実に、思わず涙がにじんだ。

 「結果は受け入れているので、もう私の出る幕ではないのかなという気持ちです」。雪が溶けるように消え入る語尾で、そうつぶやいた。

 繊細なアプローチが求められ、不安定な突風が吹きすさぶ新設のジャンプ台。日を追うごとに高梨に迷いが出た。初日の公式練習ではトップの飛距離を2度マークするなど好調だったが、ライバルの欧州勢が対応していく中で、調子を落としていった。初日で固めたはずの道具が、2日目にはまったく合わなくなった。「毎日いろんな方向から風が吹いて、なかなか道具が絞りきれず定まっていなかった自分がいた」。ジャンプは力強さを失っていった。

 銅メダルだった18年平昌五輪後、「何かを変えないと世界についていけない」と、自らのジャンプを一から組み直す決断を下した。勝てない時期も経験した。ただ、この4年間、ジャンプがもっと好きになった。「メダルしか考えていなかった」という平昌五輪。自分のジャンプを崩すことは何もしたくなかった。視野は狭まり、精神的にも追い込まれた。すべてを崩して、再び組み上げる作業に心は躍った。W杯3勝を挙げた昨季から完成形も見えていた。「楽しい4年だった」。胸を張って、そう言える。

 だからこそ、この結果がショックだった。「私は頑張って当たり前。でも頑張っても結果が残せなかったら意味はない。私の頑張りが足りなかった」。7日には今大会初採用となる男女混合団体がある。ただ、その先は…。「今のところちょっと分からない。まずミックスに向けて準備したい」。自らに言い聞かせるように話した言葉は、白い息とともに北京の夜へと消えた。

 

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