スノボ村瀬心椛 17歳真冬の大冒険 初の五輪、2位通過「めっちゃ楽しかった」
「北京五輪・スノーボード女子スロープスタイル・予選」(5日、雲頂スノーパーク)
女子予選が行われ、今大会日本選手団の最年少で初出場の村瀬心椛(ここも、17)=ムラサキスポーツ=が2回目で81・45点の高得点をマークし、2位通過を決めた。6日の決勝では、10年バンクーバー五輪フィギュアスケート女子で銀メダルを獲得した浅田真央(当時19歳)の記録を更新する冬季五輪女子史上最年少メダルの期待が懸かる。2大会連続出場の岩渕麗楽(20)=バートン=が11位で通過。同じく2大会連続出場の鬼塚雅(23)=星野リゾート=は19位で予選落ちとなった。
初の夢舞台の重圧も、吹きすさぶ強風も、多くの選手が恐怖を口にする人工雪の硬い雪面も、17歳の成長株には、何の障害にもならなかった。村瀬は1本目を落ち着いて、しっかりとまとめると、2本目は終盤の技の回転数を上げた技をきっちりと決め、80点台をマークし、2位通過。「いつもと違う緊張はあったけど、初めての五輪で、自分の滑りをして楽しもうと思っていた。1、2本目とも自分のやりたい技を着地できてうれしい」と、満面の笑みで上々の予選を振り返った。
序盤のジブ(障害物)セクションでは、万里の長城をモチーフにしたジブの屋根部分を通る難易度の高いコースを選択。「万里の長城を通る方がかっこよくみえる。自分はかっこいい滑りがしたいので。点数も高いと聞いたので、そっちの方がいいかなって」と、スノーボーダーとしてのこだわりを貫いた。
日本勢がメダルなしに終わった平昌五輪直後の18年5月。13歳で出場した最高峰大会「Xゲーム」で史上最年少優勝を飾ったのが、村瀬だった。平昌五輪は年齢制限のために間に合わず。満を持してたどり着いた五輪デビューの日。「めっちゃ楽しかったです」と最高の形で滑り出した。
6日の決勝では、10年バンクーバー五輪の浅田真央を超える女子史上最年少でのメダル獲得はもちろん、98年長野五輪ショートトラック男子500メートルの西谷岳文が持つ冬季五輪日本史上最年少金メダルの期待すら懸かる。決勝はさらに技の難易度を上げる予定。「まだ自分の全部は出し切っていない。技のレベルを上げていって、表彰台を狙いたい。決勝も楽しめそうかなと思います」。あどけない笑顔に、たっぷりの野心を携えて、17歳が頂点へと跳ぶ。
◆村瀬心椛(むらせ・ここも)2004年11月7日生まれ。岐阜県出身。小学生でプロ資格を取得し、18年の世界ジュニア選手権ではスロープスタイルとビッグエアの2冠を達成。さらに13歳で臨んだ同年のXゲームノルウェー大会では、ビッグエアで史上最年少優勝。昨年10月にW杯ビッグエア開幕戦で初優勝し、今年1月にW杯スロープスタイル開幕戦で同種目初優勝。現在、岐阜第一高の2年生。ムラサキスポーツ所属。153センチ、42キロ。