愛弟子・小林陵の金に葛西「たまってる涙、全部出ました」レジェンド感慨、原田総監督も
「北京五輪・ノルディックスキージャンプ・男子ノーマルヒル・決勝」(6日、国家スキージャンプセンター)
小林陵侑(土屋ホーム)がジャンプ競技個人としては1998年長野五輪の船木和喜以来、24年ぶりとなる金メダルを獲得した。ソチ五輪ラージヒルで、あと一歩届かず銀メダルだった“師匠”の葛西紀明の願いを愛弟子が成就させた。
葛西は土屋ホームの選手兼監督。今大会はテレビ中継のコメンテーターとして会場を訪れている。取材エリアでハイタッチのポーズをとって「陵侑、おめでとう!」と声をかけた。報道陣に葛西は「もうね、たまってる涙、全部出ましたね。めちゃくちゃうれしいっすね。こんな立場で、生で見ることなんてなかったので。目の前で、愛弟子がもう、金とれるなんて幸せですね。うれしいです」と声を弾ませた。
金メダルをかけてもらうことは「一応うっすら期待はしてるんですけど」と語り、「どこかで会えて、かけてもらえたら違う涙もあふれそうな気がしますね」と思いをはせた。ジャンプ界に与える価値についても「ノーマルヒルなんて50年ぶりの金メダル。僕が生まれた年の、50年ぶりの金メダルなので、これまたすごい快挙ですし、伝説に残る北京の金メダルだなと思います」と絶賛した。
自身も今なお選手でもある。愛弟子に、ソチで銀メダルを獲得した自身を超えられたが、「悔しさはなかったですね。他の選手が獲ったっていうならもしかしたら悔しさがあったのかもしれないですけど、後輩の陵侑が獲ったのはうれしさしかないです」とかみしめた。
フラワーセレモニーでは、表彰台の一番高いところに飛び乗った小林陵を、日本選手団総監督の原田雅彦氏が日の丸を振って見守っていた。「金メダルおめでとう。もう時代が違う金メダルなので、彼らの新しい歴史の金メダルだと思います」など、コメントした。
日本中が沸いた長野五輪以来となるジャンプ競技の金メダル。レジェンドたちの思いも乗せて、小林陵が勝ち取った。