小林陵 師匠・葛西の流儀で金成就「ノリさん戦法」トライアル飛ばずイメージをキープ
「北京五輪・ノルディックスキージャンプ・男子ノーマルヒル・決勝」(6日、国家スキージャンプセンター)
小林陵侑が金メダルを獲得した。競技前に行われるトライアル(試技)に他の選手が臨む中、小林陵はこれをスキップ。前日の練習の時点で「いいイメージが固まった」ことでトライアルなしの本番を選択したが、これは土屋ホームで選手兼監督を務める“師匠”の葛西紀明の戦法であることを明かした。
報道陣に対して、「ノリさんがいっつも使う戦法なので」と明かした小林陵は、「疲れるからいいか、と思って」「いいイメージがあった時点で飛ぶのをやめました」と、ぶっつけで本番に挑んだ。
テレビ番組のコメンテーターとして来場し、これを見ていた葛西は「やりやがったな」と思ったという。「1本目飛び終わった後で、『(トライアル)どうしたの?』って聞いたら、(小林陵が)『ノリさん戦法です』って。そういうのも使ってくれて、うれしいなと思いましたね」と感慨深げに明かした。
小林陵は前日の練習の時点で「自分のイメージが固まったので」と、感触をつかんでいたとも明かした。見守った師匠は「1本目のジャンプで、結構、涙、きてたんですよ」と競技中からこみ上げるものがあったと振り返った。
この日の天候はさほど荒れていないと葛西は感じていたという。「こんないい条件なのにトライアル飛ばないっていうのは、よっぽど調子がいいんだなっていうのも感じましたし。トライアル飛ばないって見た瞬間に絶対(メダル)獲れたなと確信しました」。その分、研ぎ澄まされた弟子の姿に、「トライアル飛ばない分の集中力がこの2本に出てきたんじゃないかなと思ってますし。1本目はほぼ完璧なジャンプだったと、タイミングも遅れはなかったですし。緊張するとジャンプ週間の4戦目みたいな、ああいうジャンプもたまにやる時あるんですけど。この一番緊張する、金メダルのかかった最後のジャンプで、2本目も追い風プラス5点、あの中であそこまで飛距離を伸ばせるのはやっぱ調子良かったんだなって見て感じました」と頼もしげに語った。