羽生【一問一答】「何一つ綻びもない状態」からの悪夢「整理がつかない」
「北京五輪・フィギュアスケート男子・SP」(8日、首都体育館)
羽生結弦は冒頭のジャンプが無得点となったことが影響し、8位発進となった。「何一つほころびもない状態」だったというが、別の競技者の残した穴が原因で4回転を跳べない想定外の事態が起きた。「“一日十善”ぐらいしなきゃいけないのかな」と悲運に苦笑しつつ、フリーへは「神のみぞ知る」と全力を尽くす考えを明かした。
以下、羽生の一問一答要旨。
-冒頭のサルコーは。
「なんか、穴にのっかりました。はまったというよりも…はまったというのは同じジャンプで自分のトレースに、はまったという感じ。2019の(世界選手権の)ショートはそれがあったんですね。2019年のショートのミスは6分間練習の時にあまりにも、本当にミリ単位でコントロールできすぎていて、同じところ跳んでしまったんですよ」
(続けて)「今回はそのミスが自分の中で分かっていたので、あるっていう経験があったので、ちゃんと6分間、ちょっとずらしていたんですよ。で、本番の時に完璧なフォームで完璧なタイミングでいったら、跳んだ瞬間に穴が入っていて。トージャンプの穴だったので。もうしょうがないです」
-朝での演技の調整は。
「かなりいいです。6分間練習もすごく良かったですし、体力もすごくいい感覚で残っていますし。もちろんフリーに向けて、コンディションがまだしっかり整った状態でいられるので。今日のミスは自分ではどうこうしようのないところだったので。フリーに向けて、しっかり、また一生懸命やりたいなと思います」
-サルコーの後は。
「なんかあったな、みたいな。何より自分の感覚の中でミスじゃないのであれは。そのまま、全然、気持ちを切らせずに、プログラムとして成り立っていたようには、自分の中では思っています」
-感情は抑えていたか。
「感情を抑えているというよりも、何かを見た時に、ちょっと一つかけらが崩れているだけで、完成されていなく見えたんじゃないですかね。しょうがないです」
-自分のせいじゃないところ。点数について。
「95点出していただけたのは凄くありがたいですし。それだけ、他のクオリティーを高くできたっていうのは、自分をほめていきたいなって思いましたし。何ですかね。正直いって、僕、何か悪い事したかなと思っています(苦笑)。何か悪いことをしたから、こうなってしまったのかなって。そういうことしか考えられないくらいでした」
-五輪だ、という強い気持ちがあったか。
「もちろん、ありました。いつもと違う空気感もありましたし、でも、すごくいい集中状態で、何一つ綻びもない状態だったので、だからこそ今、すごく、ミスの原因をさがすと整理がつかないですね。スケートの方でのミスはまったくなかったので。何か、嫌われることしたかなって。すごい氷に嫌われちゃったなと思いながらやっています(苦笑)」
-今大会直前に会場入りした理由は。
「自分自身、長く(会場に)いればいるほど“だれて”くるというのがあって。段々、調子が悪くなってくるのを、このシニアに上がってから感じていて。世界選手権とかも長いですけど。あまり長くやり続けちゃうと気合が入り過ぎてしまうので、疲れちゃうなというのもあって。ギリギリに(入った)。団体戦メンバー発表があった時点でギリギリにしようということを決めました」
-どんなフリーの「天と地と」を見せるか。
「まあ、氷に引っかからないように(苦笑)。一日一善だけじゃなくて、本当に“一日十善”ぐらいしなきゃいけないのかなってちょっと思っていますけど。それぐらい、練習としてはしっかりつめてきていて。演技に関してはすごく自信がある状態でこれていると思うので。あとはもう神のみぞ知るっていうか。まだ時間はあるので、ショートが終わった後の時間を有効に活用しながら、本当に皆さんの思いを受け取りつつ、完成されたものにしたいなって思います」