【羽生一問一答】前半2つのミスがあってこそ「天と地と」の物語ができあがった
「北京五輪・フィギュアスケート男子・フリー」(10日、首都体育館)
五輪3連覇を逃し4位となった羽生結弦(27)=ANA=は死力で「天と地と」を舞い切った。完全燃焼した北京でクワッドアクセルへの思い、王者のプライドなど、羽生の生きざまを存分に語った。
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(演技後テレビ取材に応じる)
-フリーを終えて。
「全部出し切ったのが正直な気持ちです。明らかに前の大会よりもいいアクセルを跳んでましたし、もうちょっとだったなと思う気持ちはあるんですけど。でも…あれが僕の全てかな、って。ミスをしないことは大切だと思いますし、そうしないと勝てないのは分かるんですけど。あの前半2つのミスがあってこそ、この『天と地と』の物語がある意味できあがってたのかなって気もします」
-自身の挑戦について。
「正直これ以上ないくらい頑張ったと思います。(少し震えた声で)報われない努力だったかもしれないですけど。でも…うん。ショートからうまくいかないことも一杯ありましたけど、むしろうまくいかなかったことしかないですけど。でも一生懸命頑張りました」
(ミックスゾーンで取材に応じる)
-表情から、いろんなものを抱えてきたのが伝わってきた。
「(4回転)アクセルは多分、今までの中で一番近かったと思いますし、今できる“羽生結弦のアクセルのベスト”があれかなという感じもしています」
-フィニッシュポーズについて。
「あのポーズって実は『天と地と』の天の意味も、自分の魂をパンと天に送るイメージもある。9歳の時に滑っていた『ロシアより愛をこめて』っていうプログラムの最後は同じポーズなんです。あの時の自分と重ね合わせながら…いろんな気持ちが渦巻いていたというか。あのポーズを終えて刀をしまうまで、リンクをはけるまでが、自分のプログラムのストーリーだったかなと思います」
-五輪は楽しかったか。
「全然楽しくなかったです(苦笑)。もう、いっぱいいっぱいでした」
-五輪はどういうものだった。
「ひと言じゃ言えないです。ソチ五輪は悔しいながらにも勝ってある意味成長できたかもしれない。平昌はその成長を出し切れたと思っています。今回は時間がたつと見えてくるものもあるかもしれないですけど、挑戦しきった、自分のプライドを詰め込んだ五輪だったと思います」
-アクセルで転倒して右足が痛かったと思うが、どんな状態だったか。
「詳しく話すかどうかをすごく悩んでます。かなりいろいろ手を加えていただきました。だからこそ何とか立てた感じです」
-フリーへ一番強く持った気持ちは。
「絶対アクセルを降りるって、思っていました。絶対回りきるんだって。自分のスケートを出し切るって思っていました」
-アクセルの手応えは。
「手応えはよかったですよ。すごく。これが4回転半の回転の速度なんだって。ここからランディングを作るにはちょっと危険過ぎるのかもしれないですけど。人間にはできないのかもしれないけど。でも僕なりの4回転半はできていたのかなって。多分僕しか感じたことのないものだと思います」
-4回転半への挑戦は続くのか。
「もうちょっと時間ください。ちょっと考えたいです。それくらい…それくらい、今回やり切っています」
-エキシビションのチャンスがあればどうするか。
「皆さんに感謝したいです。ひたすら。今回の演技が皆さんの期待に応えられたか、皆さんの応援を全て受け取ってつなげられたかどうか分からなくて。ごめんなさいという気持ちもたくさんあります。だからこそ、ちょっとでも『ありがとう』っていう気持ちが届く演技になったらと思います」