金の平野歩夢 不可解判定で迷った3回目 新技よぎるも「トリプルコーク信じた」
「北京五輪・スノーボード男子ハーフパイプ・決勝」(11日、雲頂スノーパーク)
日本代表・平野歩夢(23)が3回目の試技を行い、逆転で悲願の金メダルを獲得した。五輪初の「トリプルコーク1440」を組み込んだ構成を成功させ、96・00の高得点をマークした。
異次元の滑りを披露した平野歩夢。「このタイトルはずっと狙っていた。4歳から始めて、小さいころの夢を追い掛けてきたので、夢がかなったのは大きい。まだ、実感もなく、夢をひとつつかめて納得いく滑りができて、今日この日は満足しています」と笑った。
2本目でも「トリプルコーク1440」を組み込んだ構成を五輪で初めて成功させたが、91・75で2位の評価。「おかしいなと思って、イライラしてて」と振り返ったが、強じんなメンタルが平野歩を支えた。「この怒りが切れないなかの3本目。それはいい意味で、いつも以上に、怒りとともに集中できていた。また普段とは違う強い気持ちでスタートできた」。
とはいえ、3回目を行う前には別の選択肢もあったという。「フロントサイドダブルコーク1620」などの技もあり、「迷ったが、必要ない。1位のスコッティ(の得点が)が今までできたこともあるルーティン。トリプルも入ってない。僕が新しい技をするにはリスクが高すぎるなと思った。2本目やってたことを高さと着地の完成度を高められれば上回るだろうなと再確認があった」と冷静に判断。「トリプルコーク1440」を貫き、「それを信じて良かった」と語った。
「自分の場合はこの技をずっとやっぱりここ来る前からそれをひたすら練習してきた。本当に一日、50本、60本かなり練習をやってきたことが3本ともメークできたのかな。練習のおかげなのかなと思います」。
スケートボードにも挑戦し、東京五輪にも出場。4年間で一回り大きくなり、「いろいろ経験してきたことがメンタルも含めて、怖い物もなく、強さに変わっていた。練習していればいいとは思わないが、生活、普段やらないことをやってきた時間が多かったので、そういうことが練習に生きた。全てを含めて、自分が強くなれたんじゃないかなと」と、穏やかな笑みを浮かべ、うなずいた。