北京五輪のフィギュア男子で４位となった羽生結弦（２７）＝ＡＮＡ＝が１４日、会見に臨み、フリー前日に捻挫した右足首は重傷で痛み止めを注射し、４回転半に挑んだことを明かした。五輪を連覇した王者として死力を尽くして舞った北京に悔いなし。世界中が注目する中、フィギュアへの愛を存分に語った。羽生との一問一答は以下の通り。

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　（会見冒頭で自ら手を挙げて…）

　「質問の前に僕からお話させていただきます。金メダルをとったネーサン・チェン選手は本当に素晴らしい演技だった。前後するが、大会に関係しているボランティアの方、氷を作ってくださった方にも感謝したい。ＳＰでは氷に引っかかって不運な部分もあったが、滑りやすく気持ちのいいリンクだった」

　－この数日間は。

　「いろんなことを考えた。４回転半に挑んだこと、成功させられなかったこと、頑張ってきたことや道のり、道のりの価値、結果としての価値、いろんなことを考えた。けど足首が痛くて。練習もあまりジャンプをやったらいけないし、痛み止めもかなり強いものを許容量以上に飲んでいるけど、ここで滑りたいと思って今日は滑った。たくさん支えてもらっている。もっと感謝したいと思わせられた３日間だった」

　－４回転半への挑戦は続くのか。

　「どうなんでしょうか。まだ自分の中でまとまっていない。言い訳くさくなるが、前日の練習で（右足首を）捻挫した。普通の試合なら棄権していたと思う。今もドクターから、もう１０日は絶対に安静と言われている。それくらい悪かった。当日朝の公式練習があまりに痛かった。どうしようかと思ったけど、６分間練習の１０分前くらい前に注射を打ってもらって、出場することを決めた。注射で痛みを消してもらえる感覚、ケガをして追い込まれ、ＳＰも悔しくて、いろんな思いが渦巻いた結果アドレナリンが出て、自分の中でも最高のアクセルができたと思っている。思い切り跳んで、思い切り高いアクセルで、思い切り速く締めることに集中した。そのジャンプとしての最高点に、僕の中ではたどり着けたと思っている。回転の判定はいろいろあるけど、僕の中ではある意味納得。満足した４回転半だった」

　－東日本大震災の被災者の方へ。

　「いろんな方々からいろんな声をいただいた。僕はある意味幸せ。僕は皆さんのために滑っている所も、僕自身のために滑っている所ももちろんある。東日本大震災の時、何かをきっかけにみんなが一つになることがどれだけ素晴らしいか学んだ。つらいことだったけど、僕の演技で皆さんの心が一つになるなら僕も幸せ」

　－演技の満足度は。

　「冷静に考えて、ＳＰは満足。最初のジャンプをミスした中でも後は崩れず、世界観を大事にいいジャンプを跳べたことはすごく満足している。フリーはサルコーをミスしたのは悔しいし、アクセルも降りたかったと正直思うけど、上杉謙信、自分が目指していた『天と地と』、自分の生き様にふさわしい演技だったんじゃないか」

　－王者として、挑戦とは何か。

　「僕だけが特別だと思っていない。みんな生活の中で何かしら挑戦している。それが生きるということだと思う。守ることも挑戦。挑戦じゃないことなんて何ひとつない。それが僕にとって４回転半や五輪につながっていた。皆さんもちょっとでも自分を認められるきっかけになったら、僕はうれしい」

　－８年前の２月１４日にソチ五輪優勝。２連覇を失うのが怖いとも話していた。失った今、どんな気持ちか。

　「これは泣かせにくるやつですか（笑）とても重かった。重かったからこそ、自分が目指しているフィギュアスケートと４Ａとを常に探求できた。ソチ五輪、平昌五輪があったからこそ今がある。もちろん３連覇は消えてしまった。その重圧からは解放されたかもしれないけど、僕はやっぱり五輪王者だし２連覇した人間。誇りを持って、これからもフィギュアスケートで２連覇した人間として胸を張って、後ろ指をさされないように、明日の自分が今日を見た時に胸を張っていられるように過ごしたい」