高木菜那 最終コーナーまさかの転倒で銀 団体追い抜き「世界一美しい隊列」で走行も

 ラスト1周で転倒する高木菜(奥)。左は高木美、右は佐藤(撮影・高部洋祐)
 号泣する高木菜那(右)をなぐさめる高木美帆。左は佐藤綾乃(撮影・高部洋祐)
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 「北京五輪・スピードスケート女子団体追い抜き・決勝」(15日、国家スピードスケート館)

 女子団体追い抜きで高木美帆(27)=日体大職、高木菜那(29)=日本電産サンキョー、佐藤綾乃(25)=ANA=の日本は、今季W杯3戦全勝のカナダとの決勝で敗れ銀メダルだった。最終盤に高木菜が転倒し、3分4秒47で2連覇はならなかった。高木美は1500メートル、500メートルに続き今大会3個目の銀メダル。通算6個は夏季五輪を含めて日本女子の単独最多となった。日本のメダル総数は14個となり、前回平昌大会の13個を上回る史上最多となった。

 スピードスケートの神様はどちらにほほ笑むのか。最後のコーナーを回り、残りは100メートル。日本が残り200メートルで0秒32のリードも、少しずつ差は詰められていた。先頭から美帆-佐藤-菜那の隊列。日本中が祈るように見つめる中、その結末はあまりに残酷だった。

 残り100メートルを切ったところで最後尾の菜那がよろめき転倒。なんとかゴールしたものの、涙があふれて止まらなかった。美帆が歩み寄ると「ごめん」。号泣する姉を、妹はただただ抱きしめた。佐藤と、補欠だった押切も。菜那は3人の腕の中で泣いた。

 「最後、転んでなかったら優勝できたかもしれないタイムだったので。やっぱり悔しいです」と菜那。転倒原因を問われても「まだ考えてないです」と話すのがやっとだった。

 世界ではロスが出る先頭交代を減らし、後続が押す“プッシュ”が主流になりつつある。日本もW杯でその作戦を試みたが、転倒もあった。挑戦に前向きになれなかった。

 「五輪ではマイナスな気持ちをゼロにしないと絶対勝てない」と佐藤。1月、選手やスタッフが集まってミーティングし、原点回帰を決断。美帆が計3・5周を引き、佐藤が1周、菜那が1・5周先頭を担う、平昌五輪と同じ戦術で戦うと決めた。

 自信はあった。4年前は美帆の力が圧倒的で、菜那と佐藤は個人入賞は難しい成績。今大会は、2人も上位に食い込むだけの地力を付けてきた。4年間の成長を信じた。

 「(転倒せず)ゴールしたところで、どういう差になっていたか分からない」と佐藤が言うように、逃げ切れたのか、刺されたのか、結果は分からない。ただ、金メダルは目前だった。そしてつかめなかった。銀メダルも素晴らしい。しかしその現実が、ただだた重く菜那にのしかかった。

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