羽生結弦 痛みこらえ2日続けて練習リンクに「楽しくやらせてください」
フィギュアスケート男子で14年ソチ、18年平昌五輪2連覇の羽生結弦(27)=ANA=が15日、前日に続き、練習リンクに姿を現し、14-15年シーズンのフリー「オペラ座の怪人」を披露した。同プログラムを中国で披露することには、羽生にとって大きな意味を持っていた。
時間を忘れて滑っていた。じっくりと氷の感触を確かめると、ジャンプ練習へ。前日には跳ばなかった4回転トーループ、4回転サルコーも決めた。練習時間残り1分のアナウンスが流れると、えっ!と驚いた表情を浮かべて、音楽のリクエストへ。流れたのは「オペラ座-」だった。
怪人となり、仮面に手をやるしぐさを見せながら、こん身のコレオシークエンスを披露。練習後に「中国でオペラ座っていうのは、すごく大切な思いがあったので」と、明かした。
14年11月の中国杯(上海)でフリーの6分間練習中に他の選手と衝突。額と顎から流血し、テーピングと包帯を巻いた状態で、魂の演技を見せたことがあった。翌年3月の世界選手権(上海)では銀メダル。決していい思い出ではないかもしれない。それでも、羽生結弦を形作ってくれた大切な演目だった。
今大会のフリー前日に捻挫した右足首は、まだ痛みを抱えている。それでも言った。「なんやかんや言われるかもしれないですけど、痛み止めを飲んで、楽しくやらせてください。この期間だけ楽しみます!」。3度目の夢舞台。すべての思いを昇華して、この地を去ると決めている。
◆羽生と中国と「オペラ座の怪人」 2014年11月8日、上海で行われたGP中国杯の男子フリーで、ショートプログラム(SP)2位の羽生は、競技直前の6分間練習で、閻涵(中国)と激しく正面衝突。頭部などから出血した。頭に包帯、顎に絆創膏で「オペラ座の怪人」のファントムを演じ、5度転倒しながらもフリー2位で、合計でも2位を守った。試合後は病院に直行し、下顎を7針、頭部をホチキスで縫合。精密検査の結果、計5カ所の負傷で全治2~3週間と診断された。翌15年3月に同じ上海のリンクで行われた世界選手権では、SP首位から逆転されて2位だった。