【黒岩敏幸の視点】団体追い抜き 転倒で涙の銀 高木菜那だけを責められない
「北京五輪・スピードスケート女子団体追い抜き・決勝」(15日、国家スピードスケート館)
女子団体追い抜きで高木美帆(27)=日体大職、高木菜那(29)=日本電産サンキョー、佐藤綾乃(25)=ANA=の日本は、今季W杯3戦全勝のカナダとの決勝で敗れ銀メダルだった。最終盤に高木菜が転倒し、3分4秒47で2連覇はならなかった。
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(高木)菜那の気持ちを思うといたたまれない。頑張ったとしか言いようがない。菜那だけを責められない。
インコースのカーブでは、すごく疲れていると脚の感覚がなくなり、動かなくなる。バランスを取るのが精いっぱい。菜那は(前の佐藤を)押した瞬間にバランスを崩し、少し体が後ろに傾いて転んでしまった。かなり脚に負担がきていたんだと思う。
菜那が先頭で頑張って役目を果たした後で、最後に先頭に立った(高木)美帆がペースを上げた。スピードが上がるとカーブでかかる遠心力が強くなり、必然的に脚への負担が大きくなる。速くなればなるほど疲労度も高まる。いい形できていても最後に失敗してしまうパターンは、高速リンクだとよく起こる。
スタート後の隊列はしっかり組めていたし、作戦通りだった。問題は特になかった。菜那が泣き崩れているところを見ると目頭が熱くなった。立派な銀メダルだ。まだ種目はある。次に向かって進んでいってほしい。(アルベールビル五輪銀メダリスト・黒岩敏幸)