小平奈緒「やりとげることができた」1カ月前に右足首捻挫 精一杯の滑りも10位
「北京五輪・スピードスケート女子1000メートル」(17日、国家スピードスケート館)
女子1000メートルが行われ、平昌五輪銀メダルの小平奈緒(35)=相沢病院=は1分15秒65で10位だった。
ゴールした小平はタイムを確認すると、自身をねぎらうように小さく拍手した。「最後成し遂げることはできなかったが、しっかりと自分なりにやり遂げることはできたかな」。表彰台とは程遠い結果にも、どこかすがすがしい表情。取材エリアでは「終わるまでは言えなかった」と前置きしながら、大会直前の1カ月前に右足首を捻挫していたことを告白した。
「年が明けてから、絶望的な状況に陥ってしまって、大会に間に合うか心配だった」
大雪が降った1月15日。練習場に歩いて向かっていたところ、雪で滑ってしまい、右足首をひねった。「あ、やってしまったな」。2週間は練習ができず、「それからは絶望の日々だった」と振り返った。
不調は明らかだった。連覇が懸かっていた500メートルでは、スタートの出遅れが響いて38秒09。まさかの17位に沈み、「自分自身にこんなにがっかりしたことはない」と落胆を隠せなかった。
それでも、痛みや失意も乗り越えて、最後まで全力を出し尽くした。「自分なりに乗り越えてこられた。不格好な作品にはなってしまったが、自分なりの、今を乗り越える滑りはできたのかな」と誇った。
「奇跡を望んだ部分もあったんですけど、五輪ってそういう(甘い)舞台ではない。そんなに簡単に表彰台には上れない」
メダルには届かなかったが、「今、自分が(苦難を)乗り越えている姿を見ていただくことが、五輪に参加していることの意義」と生きざまを刻んだ。今後については明言しなかったものの、「もう一度地元で、体の痛みがない状態で、伸び伸びと滑ることができたらいいなという未来像は描いています」と希望を語った。