カーリング決勝に導いた敏腕コーチの慧眼 スイスから違和感「本来のスタイルではない」
「北京五輪・カーリング女子・準決勝、日本8-6スイス」(18日、国家水泳センター)
準決勝が行われ、世界ランク7位の日本代表ロコ・ソラーレは世界ランク2位で、21年世界選手権覇者のスイスを下し、初の決勝進出を決め、銀メダル以上が確定。18年平昌五輪に続く2大会連続のメダルを決めた。前日の1次リーグ最終戦で完敗した世界女王へのリベンジ。その裏にはチーム全員が信頼を置くイケメンコーチの戦略があった。
勝利のポイントはこの日の試合前に行ったミーティングにあった。サードの吉田知が振り返る。「本当に今回の勝敗を分けたのはJDコーチがしてくれたミーティングだったなと感じています。しっかりとデータ、数字を用いて、私たちが納得できる形で、私たちが勝つ方法を導きだしてくれた」。
日本女子のナショナルコーチを務めるジェームス・ダグラス・リンド氏。本場カナダから日本に渡り、コーチとしての実績を積んできた名コーチはまず準決勝を前に、選手達を前に向かせた。
1次リーグは5勝4敗のギリギリの通過。特に終盤は要であるスキップ藤沢のショット率が低下した。それでも、この失敗をプラスにとらえさせた。「私たちは上の3チームよりもたくさんの失敗をラウンドロビン(1次リーグ)で(したので)、逆にプレーオフでは大きな失敗をすることを少なくなる。なぜならラウンドロビンですべての失敗をしてきたので、私たちが世界チャンピオンであるチームスイスに勝つ術っていうのは失敗したことのある経験を使うしかないと思っていた。心のアドバンテージを感じながら、私たちも勝つチャンスはあるんだって心から信じられた」(吉田知)
そして、1次リーグ8勝1敗で通過するなど、これまで盤石の戦い方をみせているようにみえたスイスの“違和感”を指摘。吉田知は「私たちのショット率と彼女たちのショット率を見比べると彼女たちは今大会は本来のチームのスタイルではないスタイルをとってきていると、JDコーチが気付いてくれて、その数字を用いながら、きっとなにか嫌なことがあって、本来のスタイルではない方法で戦っている。私たちはその方向に引っ張っていけばいいんだと。そして、彼女たちがなぜか今大会嫌がっている方に試合をさっちゃん(藤沢)が作り上げて引っ張っていってくれた」-。序盤の堅調な展開からワンチャンスをものにし、4点のビッグエンドで試合の主導権を握った。
吉田知はうなずいた。「JDコーチの戦略勝ちという風に思います」-。