薬物陽性問題のワリエワにロシア国内は同情と擁護「IOCは恥じるべき悲劇」米報道
「北京五輪・フィギュアスケート・エキシビション」(20日、首都体育館)
ドーピング問題で批判を浴び、個人で4位に終わったカミラ・ワリエワ(ロシア・オリンピック委員会=ROC)がエキシビションに出場することなく、母国ロシアに帰国した。米全国紙USAトゥデー電子版は19日(日本時間20日)、「『邪悪な大人に縛られるな』ロシアはカミラ・ワリエワを擁護し、IOC会長を批判し続ける」との見出しで欧米メディアと国際オリンピック委員会のバッハ会長を敵視するロシア国内の様子を伝えた。
USA-によると、ロシアの日刊紙「スポーツエクスプレス」は「ワリエワなき表彰台-IOCは恥じるべき悲劇」とのタイトルで「あなたは邪悪な大人たちに縛られてはいけない」、「自己防衛本能を発動させよ」などと悲劇のヒロインに呼び掛けるような文章を掲載し、「欧米メディアやIOCは礼儀正しく見せながらこの繊細で壊れやすい天才を破滅に追い込むような地獄の10日間だった」と厳しい論調も。複数のロシア紙が欧米メディアやIOCが新しいスター選手を弱い者いじめしたと伝えたという。
ドーピング問題の裁定を待つワリエワに対してスポーツ界や政界の幹部たちは支援を約束。オレグ・マティトシン・スポーツ相はロシア・タス通信の取材に対し、「重圧やストレスに対し、彼女は誇りと威厳をもって耐えた。とても強い肉体と精神をもったアスリートなので困難を乗り越え、これからも我々に歓喜してくれるだろう。そして、我々は彼女を常に支援していく」と述べたという。
首都モスクワには「カミラ、あなたと共に」のメッセージが入ったワリエワの掲示板が登場。国内アンケートでは62%が「今回のドーピング調査は不公平」、57%が「私たちのアスリート禁止薬物を使用していない、もしくは他国の選手より少ない」と回答。USA-は「ワリエワの演技に対するロシア国内の反応は圧倒的に同情意見が多く、擁護の姿勢をみせている」とした。