ロコ・ソラーレに進化もたらした石崎の加入 献身的“お母さん”が停滞ムード打破
「北京五輪・カーリング女子・決勝、日本3-10英国」(20日、国家水泳センター)
悔しさは残りつつも、日本初の快挙となった。女子決勝が行われ、世界ランク7位の日本は平昌五輪銅メダルのロコ・ソラーレが、世界ランク8位の英国に3-10で完敗。平昌五輪の3位決定戦を争った相手に第7エンドで4点を奪われるなど劣勢が続き、雪辱されたものの金メダルこそ逃したが、銀メダルは男女を通じた日本の最高成績で、2大会連続のメダル獲得となった。
4年前に勝ち取った銅メダルを、見ることすら嫌になった時期もある。「そだねー」の合言葉とともに、一大旋風を巻き起こした平昌五輪。もぐもぐタイムと北海道なまり。競技とは違う面に注目が集まり、戸惑った。結果も伴わず、チームに漂ったのは停滞ムード。吉田知は「プレッシャー、重圧を感じていた」と振り返る。
鬱屈(うっくつ)とした状況を打破するために、ある人物を口説き落とした。石崎琴美。2度の五輪の経験をした後、13年に競技を引退。看護師として働いていた。15年の海外遠征で、産休の本橋の代わりに帯同。そこで的確に課題を指摘し、4人から信頼を得ていた。さらなる成長を求めたチームの熱意により、20年に加入した。今大会も毎回夜の練習時間に石と氷の状況を確認する石崎の姿があった。献身的な“お母さん”の存在により、殻を破った。
「もぐもぐタイム」は、果物などが主だったが、吸収の早いゼリー飲料中心へ進化した。「そだねー」を口に出す回数は減り、掛ける言葉はより具体的に、自らの弱さも口にできるようになった。そして「ナイスぅー!」が響き渡る明るさはそのままに。カーリング界の太陽(ソラーレ)は4年前よりも1つ高く昇った。