羽生結弦 ラスト舞い「春よ、来い」 感謝の北京「すべての思い込めて表現」
「北京五輪・フィギュアスケート・エキシビション」(20日、首都体育館)
各種目の上位選手らによるエキシビションが20日、首都体育館で行われ、男子で4位の羽生結弦(27)=ANA=は「春よ、来い」をしっとりと演じた。思いを込めたナンバーで北京五輪での演技を締めくくった。フィナーレでは他の出演選手と笑顔を見せたり、大会マスコットの「ビンドゥンドゥン」と戯れたりする場面もあった。3月の世界選手権(フランス・モンペリエ)については欠場の可能性に言及。今後の選手生活は熟考して答えを探していく。
さまざまな感情と出会った北京の地へ、感謝の思いを込めて。羽生は優雅に、心からの舞いを披露した。演じたのは「春よ、来い」。リンクには、描かれたモノクロの花と、桜色の花びらの、シンプルなプロジェクションマッピングの演出が施された。その中で、羽生自身が彩り豊かな花と化し、北京に「春」を呼び込んだ。
「ものすごく緊張しましたけど、すべての思い、すべての幸せを演技に込めて。自分のスケート人生のいろんなものも込めて表現できたんじゃないかと自分の中では思います」
今大会SPは8位。フリーは冒頭でクワッドアクセル(4回転半)を転倒するも、世界初認定された。とはいえ結果は4位。羽生は演技後「報われない」と言った。しかし「報われなかった今は、報われなかった今で幸せだな」と羽生。これまで幾多の“成功”を遂げてきたからこそ「報われることがすべてじゃない」と言い聞かせるように話した。
9日に痛めた右足首の状態は、かんばしくないという。通常は1錠の痛み止めを「4錠」服用。右足で踏み切らないジャンプであれば「なんとか耐えられる」状態という。この日は合計「6錠くらい」服用したとし「足首はちゃんと休ませてあげようかなと思っています」。3月の世界選手権は「総合的に判断して決めたい」と、欠場の可能性も示した。
また、今後については「羽生結弦のスケートを、僕自身もっともっと納得できるような形にしていきたい」と言及。そのために適した舞台がアイスショーなのか競技会なのか、今後「いろいろ考えた上で」選択するという。現状、固まっているのは「皆さんに見ていただいた時に、やっぱ羽生結弦のスケート好きだなって思ってもらえる演技を続けたい」との思い。それを表現する「フィールドは問わない」と表現した。
五輪を2度制した王者として、五輪で夢破れた勝負師として、数々の思い出を刻んだ、この北京の地。最後は「謝謝」と感謝を伝え、リンクを後にした。